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福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 2月の江戸小話 > 小男の願い 
      2月24日の小話 
        
      小男の願い 
      
      
        生まれつき背の低いのを、とても悩んでいる男がいました。 
   男は毎日、神棚に手を合わせては、 
  「神さま、何とぞ背が高くなります様に、どうかお願いします」 
  と、お祈りをしていました。 
   
   ある日の事、ついに男の夢の中に神さまが現れて、こう言ったのです。 
  「お前の望みを、叶えてやろう。 
   目覚めた後、ご飯を一升(いっしょう→約1.8リットル)と、お餅を一升食べ、酒を一樽(ひとたる)飲んで、そのまま眠るがよい。 
   そして目覚めた時に体中がだるく感じるから、その時、体を上下へ十分に伸びをせよ。 
   そうすれば、お前の背は必ず、布団(ふとん)の長さまで伸びているだろう」 
   そこで、男は目覚めました。 
  「おお、ありがたいお告げだ。よし、さっそく試してみよう」 
   男はお告げの通り、一升のご飯を食べ、一升のお餅を食べ、一樽の酒を飲むと、ぐでんぐでんに酔ってしまい、その場で眠ってしまいました。 
   
   さて、男が目を覚ましてみると、お告げの通り体中がだるくなっています。 
   そこで、体を上下にぐぐっと伸びをして、 
  「さて、これで願いが叶ったはず。布団の長さまで背が伸びるなんて、ありがたい、ありがたい」 
  と、立ってみると、どうした事か、前よりも背がかなり低くなっているのです。 
  「おかしいな。確か布団の長さまで背が伸びているはずなのに。・・・ああっ! このふとんは!」 
   男が布団を見てみると、何とその布団は寝る布団ではなく、座布団(ざぶとん)だったのです。 
      ♪ちゃんちゃん 
(おしまい) 
        
         
         
        
 
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