| 
      | 
     
        福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 5月の江戸小話 > すり 
         
      5月22日の小話 
        
      すり 
      
        なにをしても、そそっかしい男が、上野(うえの)の山で、ぶらぶらと歩いていますと、どうやら、自分のふところを、すり(人混みなどで、他人の金品を抜き取るどろぼう →詳細)がつけねらっているようです。 
「バカめ。そのぐらいで、すられるもんかい」 
と、いって、ねんのため、自分のふところに手を入れてみますと、大切ながまぐち(さいふ)がありません。 
「たいへんだー!」 
 男は、あわてて、すりをおいかけながら、 
「もしもし、ただいまは、しつれいもうしあげました」 
      おしまい 
         
         
         
        
  | 
      | 
     |