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福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 10月の江戸小話 > うまい物とまずい物
10月7日の小話
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うまい物とまずい物
むかし、なぞなぞの好きな殿さまが、料理番に言いつけました。
「今日は、変わった物が食いたいな」
「変わった物と言いますと?」
「うむ、うまい物とまずい物が一緒になった物を、持ってまいれ」
「・・・はい」
料理番は少し考えましたが、すぐに何かを思いついたのか、しばらくすると湯気の立っている肉を運んで来ました。
「お待たせいたしました。ご注文の『うまい物とまずい物』です。どうぞ、おめしあがりください」
「はて? ・・・これは、なんじゃ?」
「はい、これは、牛の舌でございます」
「なにっ、ベタベタとよだれをたらす、牛の舌じゃと! そんな物、気持ち悪くて食えるか!」
殿さまはカンカンですが、料理番はすました顔で言いました。
「物を食べて、うまいと感じるのは舌、まずいと感じるのも舌です。うまい物とまずい物が一緒になった物と言えば、舌しかございません」
「ぬっ、ぬぬぬぬ・・・。これはやられたわ」
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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