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福娘童話集 > 日本の民話 その2 > 12月の日本民話
12月22日の日本民話 2

サルの顔はなぜ赤い
岡山県の民話 → 岡山県情報
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投稿者 「天乃悠の朗読アート」 天乃悠の朗読アート
むかしむかし、ある山に、一匹のサルが住んでいました。
「腹がへったな、何か食べ物はないかな?」
サルが里へ行くと、おじいさんとおばあさんがおもちをついていました。
「もちをついて神さまにお供えすれば、わしらはもっともっと長生きが出来るぞ」
「そうですね。長生きするのは、良いことです」
サルは木のかげからもちつきを見ながら、何とかおもちを手に入れる方法はないかと考えました。
ふと見ると、近くの木の葉にアマガエルがいました。
「おい、アマガエルどん。お前、もちを食いたくはねえか」
サルが言うと、アマガエルはうなずきました。
「ゲーコ。食いたい、食いたい」
「そうか。それじゃ、わしの言う事をきけよ。もちをたくさん、食わせてやるからな」
「ゲーコ、きく、きくぞ。どうすればいい?」
「簡単じゃ。
お前は家の裏へ行って、赤ん坊の泣くまねをするんじゃ。
あのじいさんとばあさんは、前から子どもを欲しがっていた。
子どもの泣き声を聞くと、すぐに飛んで行くだろう。
そのすきに、わしがうすごともちをいただいて来るから、後で山分けすればいい」
「ゲーコ。なるほど、なるほど。それなら、赤ん坊の泣き声の、まねをしてくる」
アマガエルは、ピョンピョンと家の裏へはねていくと、
「ほんぎゃあー、ほんぎゃあー」
と、赤ん坊の泣きまねをはじめました。
カエルにしては、なかなかに上手です。
「おじいさん。赤ちゃんの泣き声がしますよ」
「本当だ。誰かが、子どもをすてていったのかもしれん」
おじいさんとおばあさんは、大急ぎで家の裏へ見に行きました。
「しめしめ。うまくいったぞ」
サルは大喜びで木のかげから飛び出すと、おもちの入ったうすをかついでやぶの中にかくれました。
そしてやぶの中でつきたての熱いおもちをフーフー言いながら食べていると、アマガエルがやって来て言いました。
「ゲーコ。山分けだ。わしにも、食わしてくれ」
アマガエルはそう言って、うすに飛び乗りましたが、すぐにサルが手で払いのけました。
「うるさいな、あっちへ行け!」
「ゲーコ。山分けのはず。山分けのはず」
アマガエルは何度もうすに飛び乗りますが、その度にサルが手で払いのけます。
「あっちへ行け! このもちは、全部おれの物だ」
サルがブンブンと手を振っていると、その手の先についた熱いおもちがうすから飛び出して、サルの顔にぺたりとはり付いてしまいました。
「わあーっ、あち、あち、あちちちちちち!」
サルは顔をやけどして、顔がまっ赤になってしまいました。
その時からだそうです、サルの顔が赤くなったのは。
おしまい
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