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12月22日の日本民話

娘の知恵でサル退治

娘の知恵でサル退治
三重県の民話三重県情報

日本語 ・日本語&中国語

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル

 むかしむかし、伊勢の国(いせのくに→三重県)に、おじいさんとおばあさんと三人の娘が住んでいました。
 娘の名は睦月(むつき)、如月(きさらぎ)、弥生(やよい)といい、三人とも花もはじらうほどの美人です。

 そしてここから三里(さんり→約12キロ)ほど離れた山奥に、山の主といわれる大ザルが住んでいました。
 村に遊びに行った大ザルは、一目見てこの娘たちを好きになりました。
 そして大ザルはおじいさんとおばあさんにむかって、こう言ったのです。
「三人の娘さんのうち、誰でもよいからわしの嫁にくだされ。・・・もしもいやなら、この場で五人とも食い殺してしまうぞ!」
 おじいさんとおばあさんはガタガタとふるえながら、仕方なく姉(あね)の睦月(むつき)に言いました。
「睦月よ、お前、あの大ザルのところへ嫁に行ってくれないか?」
 すると娘は、ブルブルとふるえながら言いました。
「どうか、許して下さい。あんな恐ろしい大ザルのところへ、嫁に行くのだけは」
 そこでおじいさんとおばあさんは、次に如月(きさらぎ)を呼んで言いました。
「如月よ。あの大ザルのところへ、嫁に行ってくれないか?」
「いやです! 姉上さまさえこわくていけないのに」
 おじいさんとおばあさんは仕方なく、末娘の弥生(やよい)を呼んで言いました。
「弥生よ。姉さま二人はいやだと言っているのだが、お前はどうかな?」
 すると弥生は、一家五人が食われてしまうよりはましだろうと考えて言いました。
「どうぞ、ご安心下さい。嫁には、私がまいります」
「そうか、すまないね」
 そこでおじいさんは、入口で待っている大ザルに言いました。
「お前には、三番目の弥生をやる事にした。だが、嫁に行くとなると色々と仕度(したく)もあるので、五日ほど待ってもらいたい。五日たったら、むかえにきて下され」
「よし、では五日たったら来るからな」
 大ザルは喜んで帰っていき、五日目の朝にまたやって来ました。
 きれいな花嫁衣装を着た弥生が外に出ると、大ザルはこおどりして喜びました。
 弥生は大ザルにあいそ笑いをしながら、涙を流す二人の姉に小声で言いました。
「きっと帰って来るから、待っててね」
 弥生は大ザルと一緒に山をこえて川をわたり森をぬけましたが、なかなか大ザルの家には着きません。
 でも夜中になってやっと大ザルの家に着くと、大ザルは弥生のために一生懸命に掃除(そうじ)をして朝ご飯を作りしました。
 弥生は大ザルの作ってくれた朝ご飯を食べながら、こう言いました。
「わたしは、あなたのところへお嫁に来て、とっても幸せです。わたしの喜んでいる姿を家族に見せたいので、一緒に行きませんか?」
「ああ、いいよ。かわいいお前のためだ。さっそく行くとしよう」
 大ザルが急いでしたくをすると、弥生が言いました。
「親の家に行くのだから、じいさまとばあさまの大好物のおもちをついて持っていきたいのです」
「よし、わかった。かわいいお前のためだ。さっそくつくとしよう」
 大ザルはペッタンペッタンと、おもちをついてくれました。
「さあ出来た。もちは、この重箱(じゅうばこ)に入れていこう」
「いいえ、じいさまとばあさまは、重箱のにおいがきらいなのです」
「そうか。では、どんぶりに入れていこう」
「いいえ、じいさまとばあさまは、どんぶりのにおいが大きらいなのです。おもちをついたうすのまま、背負っていきましょう」
「そうか。かわいいお前のためだ、重たいがうすごと持って行こう」
 そこで大ザルはうすを背負って、弥生といっしょに山道を下りはじめました。
 その途中、がけの上に大きな美しい桜の木が咲いています。
「あなた。じいさまとばあさまは桜の花が大好きだから、一枝取って下さいな」
「ああ、木登りはまかせてくれ」
 木登りが得意な大ザルは、うすを背負ったまま木登りをはじめ、桜の枝に手をかけました。
「桜は、これでいいか?」
「いいえ、それではなく、もっと先のをおって下さいな」
「それなら、この枝か?」
「いいえ、もっと先のをおって下さいな」
「では、この枝ではどうじゃ?」
「いいえ、もっと先のをおって下さいな。その一番てっぺんの、あの枝です」
「よし、わかった」
 大ザルはどんどん上に登り、とうとうてっぺんの枝に手をかけたとき、
 ポキリ!
と、うすを背負った大ザルの重みにたえられず、足元の枝がおれてしまいました。
「ウキィーー!」
 大ザルは重いうすを背負ったまま谷底に落ちてしまい、そのまま帰って来ませんでした。

 弥生は急いで家に帰ると、元のように五人仲良く暮らしました。

おしまい

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