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2年生の日本昔話(にほんむかしばなし)
うり子姫(こひめ)
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住(す)んでいました。
ある日、おじいさんは山へしば刈(か)りに、おばあさんは川へ洗(せん)たくにいきました。
おばあさんが、いつものように川で洗(せん)たくをしていますと、向(む)こうから、ドンブラコ、ドンブラコと、大きなうりが流(なが)れてきます。
「おやおや、なんて大きなうりだろう。うちへ持って帰(もってかえ)って、おじいさんとふたりで食(たべ)ましょう」
と、うりをひろいあげて、うちへ持って帰(もってかえ)りました。
おじいさんが、ほうちょうで切(き)ろうとしますと、うりはパカッと、ひとりでにわれて、中から、かわいらしい女の子が飛び出(とびだ)してきました。
「おや?」
「まあ!」
と、ふたりはビックリ。
子どものいないおじいさんとおばあさんは、大喜(おおよろこ)びです。
うりの中から生まれたので、名まえも、うり子姫(こひめ)と名づけて、たいそうかわいがって育(そだ)てました。
うり子姫(こひめ)は、ますますかわいらしく、けしの花のような美(うつく)しい娘(むすめ)になりました。
この国(くに)のお殿(との)さまが、お嫁(よめ)にほしいといってくるほどです。
うり子姫(こひめ)は、機(はた)をおるのがたいへんじょうずで、毎日(まいにち)毎日(まいにち)、楽(たの)しそうに機(はた)おりをしながら、おじいさんとおばあさんの帰(かえ)るのを待(ま)っているのでした。
ある日のこと、うり子姫(こひめ)がいつものように、ひとりで機(はた)をおっていますと、
「もしもし、かわいいうり子姫(こひめ)や、この戸(と)をあけておくれ。おまえのじょうずな機(はた)おりを見せてほしいのさ」
と、やさしそうな声(こえ)で、戸(と)をたたく者(もの)があります。
けれども、うり子姫(こひめ)はいいました。
「いいえ、いけません。もしかすると、あまのじゃくという悪者(わるもの)が、くるかもしれないから、だれがきても、けっして戸(と)をあけてはいけないと、おじいさんにいわれているのです」
「おやおや、あまのじゃくが、こんなやさしい声(こえ)を出すものかね。ほんの少(すこ)し、あけておくれ。指(ゆび)が入るだけでいいからさ」
それで、うり子姫(こひめ)は、
「そんなら、指(ゆび)が入るだけ」
と、ほんの少(すこ)し、戸(と)をあけました。
「おやまあ、もう少(すこ)し、おまけしておくれな。この手が、入るだけでいいのさ」
「そんなら、手が入るだけ」
と、うり子姫(こひめ)は、また少(すこ)し戸(と)をあけました。
「おやまあ、もう少(すこ)し、おまけしておくれな。この頭(あたま)が、入るだけでいいのさ」
「そんなら、頭(あたま)がは入るだけ」
とうとう、戸(と)のすきまから頭(あたま)をつき出したあまのじゃくは、スルリと家(いえ)の中へ入ってしまいました。
そして、うり子姫(こひめ)に飛(と)びかかって着物(きもの)をはぎ取(と)ると、裏山(うらやま)のカキの木にしばりつけてしまいました。
それからあまのじゃくは、うり子姫(こひめ)の着物(きもの)を着(き)て、うり子姫(こひめ)に化(ば)けて、機(はた)おりをはじめます。
まもなく、
「うり子姫(こひめ)や、さびしかったろう」
と、おじいさんとおばあさんが、帰(かえ)ってきました。
あまのじゃくは、知らん顔(しらんかお)で、
「ええ、ええ、さびしかったわ」
と、やさしいつくり声(ごえ)で、答(こた)えました。
そのとき、にわかに家(いえ)の前(まえ)が、さわがしくなりました。
うり子姫(こひめ)をお嫁(よめ)にもらいに、お殿(との)さまのカゴがむかえにきたのです。
なにも知(し)らないおじいさんとおばあさんは、たいそう喜(よろこ)んで、あまのじゃくをカゴに乗(の)せました。
カゴの行列(ぎょうれつ)は、だんだんに裏山(うらやま)を登(のぼ)っていきました。
すると、カキの木のてっペんで、カラスが鳴(な)きだしました。
♪カー、カー、カー、カー、かわいそう。
♪うり子姫(こひめ)は、木の上で。
♪おカゴの中は、あまのじゃく。
「おやっ?」
と、みんなは、うり子姫(こひめ)のしばりつけられているカキの木を見あげました。
あまのじゃくは、すぐさまカゴからひきずり出されて、やっつけられました。
そうして、ほんとうのうり子姫(こひめ)は、カゴに乗(の)って、無事(ぶじ)にお城(しろ)へお嫁(よめ)にいったのです。
おしまい
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