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9月12日の小話
オオカミのしっぱい
一ぴきの大オオカミ(→詳細)が、道のまん中で口をあんぐりあけ、食べものが飛びこんでくるのを待っておりました。
そこへむこうから、タッタッ、タッタッと、飛脚(ひきゃく→手紙や金銭を運ぶ、配達人 →詳細)がかけてまいります。
「しめた、人間がやってきたぞ」
大オオカミが、ますます大きな口をあけて待っていますと、その飛脚は、タッ、タッ、タッ、タッと、口の中へ飛びこんで、腹の中を、タッ、タッ、タッ、タッと、かけぬけ、しりから、ピョイッととび出ると、そのままいってしまいました。
大オオカミは、ざんねんそうにふりかえり、
「しまった。ふんどしをしてればよかった」
おしまい