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5月4日の日本民話
  
  
  
  長生きじいさん
  宮城県の民話 → 宮城県情報
 むかしむかし、ある村に、とても不思議なおじいさんがいました。
   このおじいさんは二メートルもある大男で、たいへんな物知りでした。
   何をたずねても、すぐに答えてくれるのです。
   おじいさんは自分の家は持たずに、村の大きな家に何日か世話になると、そこを出て、またほかの家に世話になるというくらしをしていました。
   近くの村でも、同じように世話になっていました。
   おじいさんの好きなことは、白い紙に字を書くことと、源義経(みなもとのよしつね)が活躍(かつやく)した、むかしの合戦(かっせん)の話しを話して聞かせることです。
   その話し方がまた上手で、まるでそこに自分がいて、見てきたように話すのです。
   自分では年を口にしたことはありませんが、このおじいさんは、だれに対しても自分の子どもを呼ぶように、「せがれ」というのです。
   お寺の和尚(おしょう)さんなどは、百七歳まで生きたのに、やはり「せがれ」といわれて、親しくつきあっていました。
   ある時、将棋(しょうぎ)をさしていて、おじいさんはふと、
  「そうそう、そういえばあの時、正左衛門(しょうざえもん)がな・・・」
  と、二百年も前の人の話しを始めたのです。
   不思議なおじいさんでしたが、ある年、ポックリと死んでしまいました。
   けれども、それから二十年ほどたったある時、村の人が仕事で京の都へ出かけると、そこにはあのおじいさんがいて、いろいろと話をしたというのです。
   それからも、あちこちでこのおじいさんを見たという人が現われました。
   このおじいさん、もしかすると、まだ生きているのかもしれませんね。
  
※ むかしから長生きをした人の話は多く、江戸時代の書物には、鳥取県の儀左衛門(ぎざえもん)は1841年(天保12)に二百九才の誕生日をむかえたと書かれていますし、愛知県の満平(まんぺい)は、1796年(寛政8)に百九十四才になったと書かれています。
おしまい