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4年生の世界昔話
長靴(ながぐつ)をはいたネコ
ペローの童話 → ペローの童話のせつめい
♪音声配信(html5) |
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音声 得本綾(コトリボイス) ラジオHP |
むかしむかし、粉(こな)ひきが、三人の息子を残(のこ)して死んでしまいました。
粉(こな)ひきは貧乏(びんぼう)でしたから、財産(ざいさん)といったら、水車(すいしゃ)小屋と、ロバと、ネコが一匹(1ぴき)だけです。
その中から、上の息子が水車小屋をもらい、中の息子がロバをもらい、下の息子がネコをもらいました。
「ああー。ネコなんてもらっても、なんの役にもたちやしない。お金もなしに、どうやって暮(く)らしていけばいいのかなあ」
下の息子がグチをこぼすと、ネコがいいました。
「ご主人さま。まあ、そういわないで。わたしに長ぐつを一足と、大きな袋(ふくろ)を一つ作ってください。そうしたら、必(かなら)ずお役に立ってみせますから」
下の息子はしかたなしに、いわれた物を作ってやりました。
「わあ、すてき、すてき。ありがとう」
ネコはピカピカの長ぐつをはいて、大喜(おおよろこ)びです。
さっそく森へ出かけていくと、途中(とちゅう)の畑で、お百姓(ひゃくしょう)にもらったニンジンを入れた袋(ふくろ)を木のそばへ置(お)いて、ジッと、ようすをうかがっていました。
そこへ、なにも知らないウサギの一行がやってきて、袋(ふくろ)の中へ、ピョン、ピョン、ピョン。
「よしよし、この大量(たいりょう)のウサギを見れば、王さまも大喜(おおよろこ)びされるにちがいない」
この国の王さまは、ウサギが大好物(だいこうぶつ)なのです。
ネコはウサギの入った袋(ふくろ)をぶらさげて、王さまのお城(しろ)へ出かけていきました。
「王さま。このウサギは、わたくしの主人、カラバ公爵(こうしゃく)からの、おくり物でございます」
「これはかたじけない。よしよし、これからお礼にでかけるから、そう、お伝(つた)えしてくれ」
それを聞いたネコは、急いで家ヘもどってきました。
「ご主人さま、ご主人さま、川の中へ入って、おぼれるまねをするのです。さあ、早く、早く」
そういうと、ネコはありったけの声で、
「たいへん! たいヘん! カラバ公爵(こうしゃく)さまがおぼれそうだ! おまけにドロボウに服を盗(ぬす)まれた! 助けてください! 助けてください!」
王さまは、それを聞いてビックリ。
「それ、みんな。早く助けてさしあげろ。ついでに、公爵殿(こうしゃくどの)のおめしになる服をさがしてこい」
そのすきに、ネコは畑で働(はたら)いている、お百姓(ひゃくしょう)のところへ走っていくと、
「おい、おまえたち、この畑はだれのものだ?」
「はい、魔法使(まほうつか)いさまの物です」
「いや、ちがう。これはカラバ公爵(こうしゃく)の物だ。だれかに聞かれたら、この畑はカラバ公爵(こうしゃく)の物だというんだ。さもないと、お前たちを頭からガリガリかじってやるからな!」
ビックリしたお百姓(ひゃくしょう)は、
「へい、申します、申します。ですから、わたしたちを食べないでください」
そこへ、王さまの馬車がやってきました。
「これこれ、このあたりの畑は、どなたの持ち物じゃな?」
「へい、カラバ公爵(こうしゃく)さまの畑でございます」
「ほほう、公爵殿(こうしゃくどの)は、こんなに広い畑をお持ちじゃったのか」
王さまは、すっかり感心したようすです。
そのすきにネコが、またどんどん走っていくと、りっぱなお城(しろ)がありました。
「ははん、これが魔法使(まほうつか)いのお城(しろ)だな。よしよし、このお城(しろ)をご主人さまの物にしてやろう」
ネコはすました顔で、お城(しろ)の中へ入っていきました。
「魔法使(まほうつか)いさま、わたくしは、いだいなる魔法使(まほうつか)いでいらっしゃる、あなたさまにお仕えしたくて、やってまいりました。どうぞ、わたくしをあなたさまのけらいにしていただけないでしょうか?」
「ほう。けらいになりたいのか。よし、いいだろう」
「はっ、ありがとうございます。ところで、いだいな魔法使(まほうつか)いさま、うわさによると、あなたさまは、どんな物にでも姿(すがた)を変(か)えられるそうですが」
「ふふん。見たいというのなら、見せてやる」
魔法使(まほうつか)いは、パッとライオンの姿(すがた)に早変(はやが)わりです。
「わあ、おどろいた! でも、さすがのあなたさまも、ネズミにだけは化けられないでしょうね」
「なにをいうか。ネズミくらいは、朝めし前だ」
魔法使(まほうつか)いは、パッとネズミに変(か)わってみせました。
「それ、今だ!」
ネコはヒラリと飛(と)びかかると、ネズミに化けた魔法使(まほうつか)いを、パクッと飲みこんでしまいました。
ちょうどそこへやってきたのが、王さまの馬車です。
ネコは、うやうやしくおじぎをすると、
「これはこれは、ようこそのお運びで。ここが、主人のお城(しろ)でございます」
「なんと、公爵殿(こうしゃくどの)は、こんなりっぱなお城(しろ)までお持ちじゃったのか」
感心した王さまは、公爵(こうしゃく)をお姫(ひめ)さまと結婚(けっこん)させることにしました。
こうして、貧乏(びんぼう)だった粉(こな)ひきの息子は、ネコのおかげで、すっかりしあわせになりました。
おしまい
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