2年生の世界昔話(せかいむかしばなし)
イラスト myi ブログ sorairoiro
あわれな悪魔(あくま)
スウェーデンの昔話(むかしばなし) → スウェーデンのせつめい
むかしむかし、ある村にお百姓(ひゃくしょう)がいました。
お百姓(ひゃくしょう)は、一ぴきのウシをかっていて、春(はる)になると、そのウシを牧場(ぼくじょう)につれていき、おいしい草をたくさんたべさせるのです。
そして、
「神(かみ)さま。いつもわしらをおまもりくださって、ありがとうございます。ことしもこのウシに、草をたっぷりたべさせてやってくださいまし」
と、おいのりました。
それを一ぴきの悪魔(あくま)が、しげみのかげから聞(き)いていました。
「けしからん。人間(にんげん)てやつは、なんでもかんでもうまくいくと、神(かみ)さまにお礼(れい)をいう。ところがだ、わるい事(こと)がおきると、きまっておれたち悪魔(あくま)のせいにする。・・・くやしいな、おれみたいに、いい悪魔(あくま)もいるっていうのに。ちくしょうめ、見ていろ!」
それから、三日がたちました。
お百姓(ひゃくしょう)のウシが沼(ぬま)におちて、でられなくなっています。
それを見ると、お百姓(ひゃくしょう)は、
「ひどいことをしやがる! また、悪魔(あくま)のやつのイタズラだな!」
と、おこりました。
「やっぱり、おれの思(おも)っていたとおりだ」
悪魔(あくま)は、しげみのかげからつぶやきました。
お百姓(ひゃくしょう)はウシをひっぱりだすために、てつだいの人をよびにいきました。
「よし、いい事(こと)をするチャンスだ」
悪魔(あくま)は、しげみのうしろから、そっとでてくると、動(うご)けなくなったウシを助(たす)けてあげました。
「へっへっへっ、こんどこそ、おれもお礼(れい)をいわれるだろう」
と、ニコニコ顔(かお)です。
やがて、お百姓(ひゃくしょう)が帰(かえ)ってきました。
ウシが沼(ぬま)からあがっているのを見ると、お百姓(ひゃくしょう)は大喜(おおよろこ)びでいいました。
「おおっ、神(かみ)さま。ウシをひっぱりあげてくださって、ありがとうございます」
おしまい
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