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 ワシ の まね を した カラス
      
 (イソップどうわ)
 
 
 にほんご ・ えいご ・ にほんご & えいご
  むかしむかし、いちわ の ワシ が かり を していました。
      
 ワシ は たかい いわ の うえ から、さーっ と まいおりた かと おもうと、
 
 こヒツジ を するどい つめ で がっちり と つかみ、あっと いう ま に つれさって しまいました。
 
 「かっこいいなぁ」
 
 その ワシ の ようす を、いちわ の カラス が うっとり みていました。
 
 「ぼく も あんな ふう に かり を するんだ。
 
 せこせこ と き の み を つつく なんて、もう やめた」
 
 カラス は さっそく、ワシ の まね を しました。
 
 つぱさ を ひろげ、ビュッ と おおきな はね の おと を たてて えもの を ねらい ました。
 
 「どうせ なら、ワシ が つかまえた の より おおきな ヒツジ を つかまえて やろう。
 
 あんな ふう に ガシッ と ふかく つめ を たててれば、ヒツジ なんか かるい もんさ」
 
 カラス は ヒツジ の むれ の なか で、いちばん よく ふとっている ヒツジ の せなか に とびつき ました。
 
 しかし ヒツジ は おもすぎて、カラス には とても もちあげられません。
 
 「しかたがない、こヒツジ で がまん するか」
 
 カラス は、とびあがろう と しました。
 
 でも、いくら ちから いっぱい はばたいても、つめ が ヒツジ の まきげ に からまって、うごく こと が できません。
 
 バタバタ と もがいている うちに、とうとう カラス は ヒツジかい の おとこ に つかまって しまい はね を きられて しまいました。
 
 さっそく ヒツジかい の こどもたち が、この ようす を み に あつまって きました。
 
 ひとり の こども が、たずねました。
 
 「おとうさん、この とり は なんて いう とり なの?」
 
 すると ヒツジかい は、わらいながら こたえました。
 
 「おとうさん は、こいつ は どうみても カラス だと おもうんだ。
 
 でも こいつ は、じぶん の こと を ワシ だと おもっている みたい だね」
 
 
 
 じつりょく も ない のに ひと の まね を しよう と しても、けっして かんたん には うまく いきません。
 
 それ ばかり か、この カラス の よう に、みんな に わらわれて しまう と いう おはなし でした。
         おしまい        
 
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