福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 2月の日本昔話 > ふたを取らずに
2月19日の日本の昔話
イラスト たつよ 提供 らくがきの日常
ふたを取らずに
蓋仔毋好打開來
・日本語 ・日本語&中国語 ・日本語&客家語
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「久瑠璃桜華」 久瑠璃桜華
むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
頭擺頭擺,有一個人安到一休,大家認為佢係當伶俐个細沙彌。
ある日の事、お金持ちの加平(かへい)さんが『ごちそうをしますから』と、一休さんを家に呼びました。
有一日,盡有錢个加平先生愛『請食飯』,喊一休先生去厥屋下。
一休さんが喜んで加平さんの家に行ってみると、おぜんにはたくさんのごちそうが並んでいました。
一休先生歡歡喜喜去到加平先生屋下,看到滿桌排到淰淰个酒席盡豐沛。
「これはすごい。では、いただきます」
「還好哪!該斯無客氣了!」
一休さんがおはしを持って、おわんのふたを取ろうとした時です。
一休先生擎起箸,想愛打開碗个蓋仔該下,
「一休さん。そのおわんは、ふたを取らないで食べて下さい」
「一休先生,請你啉湯个時節碗蓋仔毋好打開來。」
と、加平さんが一休さんに言ったのです。
加平先生摎一休先生講:
それを聞いた一休さんは、ピーンと来ました。
一休先生聽到後感覺
(ははーん。わたしのとんちを、試そうとしているのだな)
(啍!愛來試探𠊎有影恁伶俐麼?)
一休さんはニッコリ笑うと、
一休先生斯笑笑講:
「では、お汁はあきらめて、他のごちそうをいただきましょう」
「該斯湯莫啉,先食其他好食个料理。」
と、おわんには手をつけずに、他のごちそうだけを食べていきました。
湯斯放忒,食其他好食个料理。
すると加平さんは、
加平先生
「一休さん。
そのおわんには、本当においしいお汁が入っています。
是非とも、召し上がって下さい」と、言うのです。
講:「一休先生,該碗肚係當好食个湯,一定愛拿來啉。」
そこで一休さんは、こう言いました。
因為恁樣,一休先生應講:
「せっかくのお汁も、すっかり冷めてしまいました。
「專工煮个湯,放久乜會冷忒。
すみませんが、おわんのふたを取らないで温かい物と取り替えて下さい」
失禮,請你碗蓋仔莫打開來,換較燒个湯。」
「・・・・・・」
「......」
おわんのふたを取らずに、中のお汁を取り替える事は出来ません。
碗蓋仔無打開來、裡肚个湯無辦法換。
でもそれを言うと、『そのおわんは、ふたを取らないで食べて下さい』と言った、加平さんの言葉が間違っていた事になります。
講該句話摎加平先生早先講个『請你啉湯个時節碗蓋仔毋好打開來。』个意思相同。
これを聞いた加平さんは思わず手を打って、一休さんに頭を下げました。
加平先生聽到這句話,不知不覺双手拍掌,並向一休先生低下頭來講:
「いや、これは参りました。
あなたは、うわさ通りのとんちの持ち主ですなあ。
「𠊎輸分你了,你確實像外背大家講个當伶俐个人。
おわんの中身は、ふたを取って温かい物と取り替えてきますので、どうぞ一休さんも、ふたを取って召し上がってください」
碗肚个湯早就摎碗蓋仔打開來換較燒个湯了,一休先生請打開碗蓋仔啉湯。」
この事がみんなに知れ渡り、一休さんのとんちはますます評判(ひょうばん)になりました。
這事傳開來,大家都稱讚一休先生恁伶俐。
おしまい
煞了
イラストおまけ イラストをクリックすると、大イラスト(2560×1440)を表示
|