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3月9日の日本の昔話
サザエ売り
賣蠑螺
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安著吉四六个人、盡樂線。
さて、久しぶりに臼杵(うすき)の町へ出た吉四六さんは、何か変わった物はないかと大通りを歩いていました。
盡久無去臼杵街路个吉四六先生,想去看看有麽个變化無,就在大街路逛。
すると、魚屋の前に出ました。
行到一坎賣魚仔个店仔面前。
店には立派なサザエが、いくつも並んでいました。
店肚排盡多當靚个蠑螺。
「ほほう、サザエか。・・・サザエねえ。・・・よし、一儲け出来そうだ」
「ho53,蠑螺係啊?...蠑螺呢!...好!做得賺一兜錢。」
ある名案を思いついた吉四六さんは、魚屋に入って行きました。
想出一條妙計了後个吉四六先生,就行落魚仔店。
「あの、これは、何ちゅう物かな?」
「m11,這係麼个東西?」
吉四六さんは、わざと知らないふりをしてサザエを指差しました。
吉四六先生,詐毋知指該蠑螺,問:
「ああ、これはサザエという物だ。お前さん、知らんのかい?」
「啊!這係蠑螺啦,先生,你毋知係無?」
吉四六さんはサザエを手に取ると、いじってみたり、重さを計ってみたりしながら、
吉四六先生用手去拿隻蠑螺後,緊搞緊試量看有幾重。
「これは珍しい形の貝だ。家の土産に買って帰りたいので、三つほどくれや」
「這係一種盡少看著个海螺,買轉來去做等路,拿三隻。」
「へい」
「好!」
魚屋が吉四六さんにサザエを渡すと、吉四六さんが言いました。
魚店个人交分吉四六先生个時節,吉四六先生斯講:
「すまんが、火箸の様な、固い棒を貸して下さい」
「失禮哦,有像火鉗樣个硬東西麼?借𠊎。」
吉四六さんは火箸を借りるとサザエのふたをこじ開けて、中身を取り出しました。
吉四六先生借著火鉗就摎蠑螺个疕控忒,肉挑出來。
そしてサザエの中身を、ポイと捨ててしまうと、
過後,摎螺肉㧒忒。
「こんな物が入っていると、重くてかなわん」
「這肉留在裡肚忒重毋好。」
と、言って、そのまま帰ってしまいました。
空海螺殼拿等轉去。
魚屋は吉四六さんが行ってしまうと、サザエの中身を拾って、
魚店个人等吉四六先生轉去,煞煞摎蠑螺肉拈起來。
「何とも馬鹿な奴もいるもんだ。だが、金は払ったし、中身も残っている。こりゃ、もうかった」と、言いました。
講:「有恁戇个人,錢付出去肉留下來,這賺著咧!」
それから何日かして、また吉四六さんは臼杵の町にやって来ました。
過幾日,吉四六先生又來臼杆街路。
そして魚屋によると、またサザエを三つ買って中身を捨てて、サザエの殻(から)だけを持って帰りました。
經過魚店又買三个蠑螺,共樣肉挑出來㧒忒斯帶殼轉去。
魚屋は大喜びです。
魚店个人當歡喜。
「あいつは本当に馬鹿だな。・・・いやいや、良いお客さまだ。よし、今度は大量に仕入れるとするか。うっひひひひ」
「這個人斷真係戇仔。...毋係毋係,盡好个顧客。好,下二擺會買當多敢?嘻...」
それから何日かして、またまた吉四六さんは臼杵の町にやって来ました。
毋知過了幾多日,吉四六先生又來臼杵街路,
今日は、ウマを引いています。
毋過,今晡日牽等一條馬來。
魚屋に行ってみると、サザエが店の前に山ほど積んでありました。
行到魚店看著蠑螺堆山塞海恁多。
魚屋は吉四六さんを見つけると、ニコニコしながら呼び止めました。
魚店頭家看著吉四六先生笑咪咪招呼佢。
「おい、そこのばー・・・。いや、お客さま。今日はサザエを買わないんですか?大量に仕入れたから半値で、いやいや、半値の半値で、ええい、たったの一文で、欲しいだけお売りますよ」
「噯!該片个戇~...。毋係,大人客,今晡日毋愛買蠑螺係無?假使大量買算你半價,毋係毋係,半價个半價,一文錢,看你愛幾多都賣分你哦!」
魚屋にしてみれば、中身をいちいち取り出す手間はいらないし、殻を処分する手間も入りません。
你落來店試看,毋使挑肉出來,殼乜毋使自家處理。
本当なら吉四六さんに、手間賃を支払ってもいいくらいです。
正經你係愛買𠊎墊你工錢。
すると吉四六さん、ちょっと迷惑そうな顔をして、
吉四六先生面色詐意盡為難樣。
「そこまで言うなら、もらっていこうか。今日はちょうどウマも引いているし、みんなもらっていくよ」
「講到恁樣了,摎你買好無?今晡日堵好牽馬來,全部買好了。」
「へい、商談成立だ」
「he24 講成囉!」
吉四六さんは一文を差し出すと、火箸を差し出す魚屋に言いました。
吉四六先生交出一文錢後,摎借火鉗分佢个魚店頭家講:
「いや、これだけの数だと時間もかかる。商売の邪魔をしちゃ悪いから、中身も入れたまま、もらっていくよ」
「數量恁多愛盡多時間,會妨害你作生理盡毋好,𠊎拿轉去正處理好啦。」
「へっ?」
「he~?」
魚屋が驚いている間に、吉四六さんは店のサザエを全部ウマに積み込むと、そのまま行ってしまいました。
魚店个人無結無煞个時節,吉四六先生摎店肚个蠑螺全部裝好放上馬背囊,載轉屋下。
そして少し歩いたところで、吉四六さんは大声で言いました。
離開店仔無兩步脚,吉四六先生就大聲喊講:
「ええ、サザエはいらんかね。安いよ。安くてうまい、サザエだよー」
「e53 愛買蠑螺無?盡便宜喔!便宜又好食个蠑螺哦!」
おしまい
煞咧
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