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5月28日の日本の昔話
でこ鼻、手長、足長
大鼻空笐,長手,長腳
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あるところに、でこ鼻と、手長と、足長と言う、三人の男がいました。
頭擺頭擺,有三個細倈人;一個大鼻空笐,一個手長,一個腳長。
でこ鼻は、とても大きな鼻をしています。
大鼻空笐該個有當大个鼻空笐。
手長は、とても長い手をしています。
長手該個有當長个手。
足長は、とても長い足をしています。
長腳該個有當長个腳。
ある日の事、三人はお伊勢参りへ行くことになりました。
有一日,三儕決定去伊勢參拜。
米山薬師の所まで来ると、三人は一休みをしました。
等佢兜來到米山藥師該位時節,歇睏一下。
でこ鼻が、景色をながめながら言いました。
大鼻空笐緊看風景緊講:
「ここは見晴らしが良くて、ええ気持ちだ。
「這位盡開陽,感覺當好。
何だか、酒でものみたいな。
毋知麼个緣故總細試著,有滴酒來啉毋知幾好哪。
おい、足長。
噯,長腳。
お前、ひとっ走り酒を買って来てくれや」
你走一道去買酒轉來分𠊎!」
「はいよ」
「好哦。」
足長は返事をすると、ただでさえ長い足をぐーーーんと伸ばして、長岡(ながおか)の町まで、たったの十歩で酒買いに行きました。
長腳回答後,他伸出厥長腳,行無十步就到長岡街路買清酒了。
そして帰りも足をぐーーーんと伸ばして、たったの十歩で帰ってきました。
買著酒轉去乜共樣,伸出長腳,斯行無十步就轉到了。
「おう、さすがに早いな。
「唉哦,還遽哪。
さて、酒は手に入れたが、酒の肴がないな。
酒買著了,傍酒个菜無買著,
おい、手長。
噯!長手,
お前、魚でも取ってくれんか」
你去買魚仔好無?」
「はいよ」
「好哦。」
手長は返事をすると、ただでさえ長い手をぐーーーんと伸ばして、小千谷(おじや)の海で泳いでいた魚をひょいと取ってくれました。
長手應好後,伸出厥長手,摎在小千谷海竇泅个魚仔捉起來。
「よし。これで、酒も肴も手に入ったぞ」
「好。這下有酒又有菜囉。」
三人は酒をのんで魚を食べると、そのまま昼寝をはじめました。
佢三個人啉酒,又吃魚仔,過後開始睡當晝。
さて、しばらくすると冷たい風が吹いてきました。
過無幾久,起一陣涼風。
長い足が冷えた足長は、ぶるぶるふるえながら目を覚ましました。
長腳个腳試著當冷,冷到緊顫、醒起來。
「ううっ、寒いな。どこかに、風をよける場所は・・・」
「m11,還冷。愛尋隻較背風个位所...」
足長は、でこ鼻の大きな大きな鼻の穴に気づきました。
長腳發現大鼻空笐个鼻空當大。
「こうして見ると、でこ鼻の鼻は本当にでかいな。よし、ちょいと入らせてもらおう」
「恁樣看起來,大鼻空笐个鼻空正經當大。好,來去大鼻空笐肚借囥一下。」
足長は、でこ鼻の鼻の中にどんどん入っていきました。
長腳斯慢慢鑽落大鼻空笐个鼻空肚。
すると鼻がくすぐったくなったでこ鼻は、思わず大きなくしゃみをしました。
鼻空痎,大鼻空笐嗄打哈啾。
ハックショーーーン!
哈~啾~!
鼻が大きい分、でこ鼻のくしゃみは、もの凄い音です。
鼻空笐當大,打哈啾个聲盡得人驚。
その音に目を覚ました手長が、でこ鼻にたずねました。
分該哈啾聲吵醒个長手去問大鼻空笐。
「おい!今のはどうした!?」
「噯!這下發生麼个事情!?」
「ああ、何かがおれの鼻の中で動き回っているんだ。・・・ハッ、ハッ、ハックショーー―ン!」
「啊,毋知麼个東西在吾鼻空肚蠕蠕動。...哈、哈、哈啾!」
「よし、おれがさがしてやろう」
「好,𠊎來尋看。」
手長が長い手をでこ鼻の鼻の中に入れてみると、中にいた足長が面白がって手長の手をふみつけました。
長手摎佢長長个手伸落鼻空笐時節,鑽落鼻空笐肚个長腳試著盡生趣,斯用腳跺長手个手。
「あいた!どうやら、中にいるのは足長だな。ひとつ呼んでみるか」
「盡燒暖!像形係長腳在裡肚,試喊看。」
「ああ、そうしてくれ。どうにもこうにも、くすぐったくって、・・・ハックショーー―ン!」
「啊,拜託你。實在還痎...哈、哈啾!」
手長が、でこ鼻の鼻の中に頭を入れて言いました。
長手摎頭那伸落大鼻空笐个鼻空肚,講:
「おーい、足長。お前、そんな所で何をしてるんだ?」
「噯,長腳,你在該位做麼个?」
すると、足長が答えました。
過後,長腳應講:
「いま、煙草(たばこ)を刻(きざ)んどる所だ。一服したら、出て行くから」
「這下,𠊎堵堵拿菸出來,㗘筒煙正出來去。」
それを聞いたでこ鼻は、びっくりして言いました。
聽著這話个大鼻空笐嚇著,講:
「こらこら、おれの鼻の中で火を付けるな。手長、何とかしてくれ」
「噯,噯,毋好在𠊎个大鼻空笐裡肚點火,長手,𢯭想辦法。」
「何とかと、言われてもな。おーい、足長よ―、中で火をつけても大丈夫なのかー?」
「講著仰結煞,𠊎乜毋知,噯,長腳,在裡肚點火敢安全?」
すると中から、足長が答えました。
長腳在裡肚應講:
「大丈夫、大丈夫。煙草の火ぐらい、何でもないぞ。何しろでこ鼻の鼻の中には、千軒の町があるんだからな」
「無問題,無問題,像菸恁大仔个火,無麼个無問題,總講,大鼻空笐个鼻空裡肚有上千間屋个城市恁大。」
「千軒の町?おい、でこ鼻。足長があんな事を言っているが、本当か?」
「千間屋个城市?噯,大鼻空笐,長腳講个,敢有影?」
「まさか。自分の鼻の穴を見たことはないが、いくらおれの鼻がでっかいと言っても、そんなはずは」
「講正經,𠊎從來毋識看過𠊎自家个鼻空,無論𠊎个鼻空有幾大,都毋應該恁樣做。」
「まあ、それもそうだな」
「該,有影係恁樣。」
手長はうなづくと、足長に言いました。
長手點頭同意後,摎長腳講:
「おーい、足長。いくら何でも、そんなうそを言うなよ」
「噯,長腳。不管你仰仔講,乜莫講恁耗漦。」
「うそなものか。うそだと思うんだったら、お前の長い手で中の物を引っ張り出してみろや」
「這係耗漦嘎?若係你認為這係花蓼,請你用手去摎裡肚个東西拉出來試看。」
「よーし」
「好!」
すると確かに、何か大きな物が入っています。
確實有一隻當大个東西在裡背。
そこで手長はこんしんの力を込めて、その大きな何かをずるずると引っ張り出してみました。
長手用盡全身个力,拉出該毋知麼个當大个東西來看。
すると本当に、でこ鼻の鼻の穴から千軒の町が出て来たのです。
確實,對大鼻空笐个鼻空裡肚拉出千間屋个城市。
この鼻の穴から出てきた町が、今の柏崎(かしわざき)の町なのです。
對這隻鼻空笐裡肚拉出千間屋个城市就係這下个柏崎城。
おしまい
煞咧
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