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7月25日の日本の昔話
弘法の衣(弘法大師)
弘法大師个袈裟
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、外見だけで人を判断する、とても心のせまいお金持ちの主人がいました。
頭擺頭擺,有一個單淨用外表來判斷人、心胸非常狹个財主。
ある日の事、みすぼらしい姿のお坊さんが、このお金持ちの家へ托鉢(たくはつ)にやって来たのです。
某日,一個寒酸个和尚師父來到這財主屋下化緣。
お坊さんがお金持ちの大きな家の前に立って鐘を鳴らしてお経を読み始めると、家の中から主人が出て来て、お坊さんをじろりと見て言いました。
和尚師父企在財主大座屋面前,開始敲鉦、念經時節,屋主行出來,目盯釘看等和尚師父,講:
「ふん、乞食坊主(こじきぼうず)が。いくらお経を読んでも、お前みたいな汚らしい奴にやる物はないぞ。とっとと、出て行け!」
「fun,乞食和尚,無論念幾多經,都毋會拿東西分像你這種律律不不个人。遽遽走開!」
「・・・・・・」
「......」
お坊さんは黙って頭を下げると、そのまま立ち去りました。
和尚師父犁下頭行禮,恬恬行開了。
さて次の日、同じ家に今度は立派な袈裟衣(けさごろも)を着たお坊さんが立って、鐘を鳴らしてお経を読み始めました。
第二日,著等當派頭个袈裟个和尚師父企在共座屋面前,開始敲鉦、念經。
すると、それを見た家の主人はびっくりして、
看到該个財主嗄著驚,講:
「これはこれは、お坊さま。
「唉哦,和尚師父,
あなたの様な立派なお方が、こんなところではもったいのうございます。
像你恁派頭个人,在這種位所實在無採。
ささ、どうぞ家に上って下され」
請落來𠊎屋下。」
と、お坊さんを家の中へ通したのです。
摎和尚師父請落屋去。
主人は家の者に山の様なぼた餅を用意させると、お坊さんの前に差し出しました。
財主吩咐屋下人準備像山恁高个紅豆𩜄粄送到和尚師父面頭前。
「大した物は用意出来ませんが、どうぞ、お召し上がり下さい」
「𠊎無準備麼个大項下个東西,請盡量享用。」
すると、お坊さんは、
過後,和尚師父講:
「これはこれは、どうもご親切に」
「唉哦,承蒙你个好意。」
と、言いながら、そのぼた餅を手に取って、キラキラと光る袈裟衣へベタベタとなすりつけました。
一片講一片拿紅豆𩜄粄,嗄膏著亮線袈裟。
それを見た主人は、びっくりして言いました。
看到這个財主嗄著驚,講:
「お坊さま。
「和尚師父,
せっかくのぼた餅を、何ともったいない。
恁寶貴个紅豆𩜄粄仰恁打爽呢?
その上、その立派なお衣まで汚されてしまうとは」
另外,又摎恁竳線个袈裟舞屙糟。」
するとお坊さんは、すました顔で言いました。
過後,和尚師父無相干樣講:
「ご主人は覚えていないかもしれませんが、わしが昨日来た時、あなたはわしのみすぼらしい姿を見て、わしを追い返されました。
「施主可能毋記得了,𠊎昨晡日來个時節,你嫌𠊎恁律不,摎𠊎逐走。
そして今日はわしのこの衣を見て、この様にごちそうまでしてくださる。
今晡日看著𠊎這身衫,用像這恁豐沛來招待𠊎。
昨日のわしも、今日のわしも、同じわしじゃ。
昨晡日來个𠊎,今晡日來个𠊎,係共樣个𠊎。
ただ違うのは、身にまとうておる衣だけ。
斯差在𠊎著个這身衫褲定定。
とすると、家に上げてぼた餅を出してくれたのは中身のわしではなくて、わしが着ているこの衣ではないのか?
照恁樣看,你係請𠊎著个這身衫褲,毋係請內肚个𠊎敢?
そこでわしは、このぼた餅を衣に食わせてやったのじゃ。
所以𠊎拿紅豆粄請𠊎著个這身衫食。
では、これにて失礼する」
對這,𠊎感覺盡失禮。」
お坊さんはそう言うと、そのまま旅に出てしまいました。
和尚師父講煞後,繼續出去旅行。
後になってお金持ちの主人は、このお坊さんが有名な弘法大師だった事を知ると、人を外見だけで判断する自分を深く反省しました。
後來,財主知這個和尚師父係當有名个弘法大師後,深刻反省,做毋得斯看外表來判斷別人。
そしてそれからは誰にでも優しく接する、とても心優しい主人になったと言う事です。
自該擺以後無論對麼人都盡親切,聽講變一個非常善心个財主。
おしまい
煞咧
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