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7月27日の日本の昔話
やみ夜のカラス
暗晡時頭个烏鴉
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、きっちょむさんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,非常樂線。
ある日の事、きっちょむさんが町へ野菜を売りに行ってみると、大工の熊さんが、せがれの定坊(さだぼう)のえり首をつかんで大声でどなっています。
某一日,吉四六先生去街路賣菜,一個木匠熊先生抓等厥倈仔定坊个衫領仔,大聲咄。
この熊さん、大工の腕は良いのですが、とても怒りっぽい人です。
熊先生技術盡好,但係脾氣毋好,當會發閼。
えり首をつかまれた定坊は、
衫領仔分人抓等个定坊,講:
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「失禮,失禮。」
と、泣いてあやまっていますが、熊さんは許そうとはしません。
緊噭緊會失禮,熊先生像形還係毋肯原諒佢。
子ども好きなきっちょむさんは、二人の間に割っては入りました。
乜當惜細人仔个吉四六先生,過來硬硬摎兩儕分開來。
「まあまあ、熊さん。一体、どうしたと言うんですか?」
「好了,好了,熊先生,到底仰會恁樣形呢?」
すると熊さんは、すみでまっ黒に塗りつぶされた、絵を描く絹の布を見せて、
過後,熊先生拿出用墨水畫到烏烏个絹畫分吉四六先生看。
「きっちょむさん、これを見てくれよ。わしは絵が好きだから、絵の先生に何かを描いてもらおう
と思って、この絵ぎぬを買ってきておいたんだ。すると定坊の奴が、いたずらをしてこんなにすみを塗ってしまったんだ。これでは使い物にならない」
「吉四六先生,你看這張畫。𠊎當愛圖畫,所以想請繪畫先生畫兜麼个,斯去買畫圖用个絹布,哪知定坊該個細猴仔,手恁賤用墨水畫到烏烏,這嗄用毋得了。」
「なるほど。ちょっと、見せてください」
「有影,借𠊎看一下。」
きっちょむさんはその絵ぎぬを受け取って、つくづくとながめてから言いました。
吉四六先生接過絹布詳細看過後,講:
「熊さん、定坊は、とても絵がうまいね」
「熊先生,定坊非常會繪畫呢。」
「な、なんだって?」
「麼个,你講麼个?」
「定坊は、いたずらをしたんじゃなくて、やみ夜にカラスがいるところを描いたんだよ」
「定坊,毋係賤,佢畫个係暗晡時頭个烏鴉。」
「えっ? やみ夜のカラスだって? ・・・なるほど、だからまっ黒というわけか。わはははははっ」
「麼个?暗晡時頭个烏鴉?...有影,因為全部都烏疏滴溚。哇哈哈哈哈。」
きっちょむさんのとんちに、さすがの熊さんも、お腹をかかえて笑い出しました。
吉四六先生个伶俐,熊先生乜分佢弄到哈哈大笑。
そして、すっかり機嫌を直した熊さんは、
心情改變个熊先生,講:
「定坊、もう、やみ夜のカラスを描くんじゃないぞ」
と、許してやりました。
「定坊,毋好再過畫暗晡時頭个烏鴉。」
原諒佢了。
おしまい
煞咧
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