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9月4日の日本の昔話
木仏長者(きぼとけちょうじゃ)
無情个有錢人
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、貧乏な男が、長者といわれる大金持ちの家で働いていました。
頭擺頭擺,一個窮苦个男仔人,在一個大有錢人屋下做事。
長者の家には、立派な金の仏さまがあります。
有錢人屋下,有一尊當派頭个金佛。
男はたいへん信心(しんじん→神仏を信仰する気持ち)深くて、
這個男仔人非常虔誠(虔誠→敬拜神佛个心意),
「なんて立派な仏さまだろう。自分もあんな仏さまを持っておがみたいものだな」
と、思っていました。
佢想:「仰會恁派頭个金佛!我也想愛有恁樣个佛祖。」
ある日の事、男は山へ仕事に行って仏さまそっくりの木の切れはしを見つけると、ひろって持って帰りました。
有一日,男仔人去山頂做事,發現一截看起來像佛祖个樹仔,摎佢拈起來帶轉屋下。
そして自分の部屋に、おまつりしたのです。
過後,在自家房間裡肚敬奉。
男は毎日、自分のおぜんをお供えして木の仏さまをおがみました。
逐日,這個男仔人摎佢自家个飯菜供奉樹頭佛祖。
でも、ほかのみんなはそれをバカにして、男をいじめるのです。
但係,其他所有个人,摎佢看做戆仔,欺負佢。
男はとてもよく働くので、このままいじめられてよそにいかれては大変と、長者はこんな事を考えました。
這個男仔人當煞猛,所以有錢人想著,若係照恁樣分人欺負,分佢走去斯無結煞。
「お前さんのおがんでいる木の仏さまと、わしの持っている金の仏さまとを、一度、すもうをとらせてみようではないか。木の仏さまが負けたなら、お前は一生、わしのところで働くんだ。その代わり、もしわしの金の仏さまが負けたなら、わしの持っている財産はみんなお前にやろう」
「你敬奉个樹頭佛祖摎𠊎个金佛來比一擺揇腰交愛無?若係你个樹頭佛祖輸忒,你這生人在𠊎這做事,反過來,若係𠊎个金佛輸忒,𠊎个財產總下分你。」
男は、びっくりです。
這個男仔人嗄著驚。
さっそく木の仏さまの前へ座ると、手を合わせて言いました。
煞煞坐在樹頭佛祖面頭前,雙手合十講:
「大変な事になりました。あなたさまと金の仏さまとが、おすもうをおとりになるのです。どうしましょう?」
「壞蹄了,你摎金佛愛比一擺揇腰交,仰結煞?」
すると木の仏さまは、男に言いました。
過後,樹頭佛祖摎男仔人講:
「心配するな。強い相手だが、わしは勝負をしてみるよ」
「毋使愁,雖然係當強个對手,但係𠊎會盡力比賽。」
いよいよ、すもうをとる日です。
總算到比賽該日了。
大きな部屋で、金の仏さまと木の仏さまは向かい合って立ちました。
金佛摎樹頭佛祖在一個大房間裡肚,面對面企等。
長者は二つの仏さまに、勝負に負けるとどうなるかを説明すると、
有錢人摎兩個佛祖説明,比賽若係輸忒會仰般,
「さあ、始め!はっけよい、このった!」
「開始!好,就係恁樣!」
と、うちわをあげて、開始の合図をしました。
擎起扇仔,並發出開始个信號。
すると二つの仏さまはグラグラと動き出して、近寄って組み合いました。
過後,兩個佛祖開始踜踜蹭蹭停動,接近以后後揇做下。
押したり押されたり、なかなか勝負がつきません。
𢱤過來𢱤過去,盡難分得出輸贏。
長者も使用人の男も、ハラハラしながら応援(おうえん)しました。
有錢人摎做長工个男仔人,愁勞博激在該加油。
「金の仏さま負けるな!」
「金佛毋好輸哪!」
「木の仏さま負けるな!」
「樹頭佛毋好輸哪!」
最初の方は金の仏さまが優勢でしたが、そのうちに金の仏さまの体中が汗でびっしょりになってきたのです。
金佛起頭占贏面,但係慢慢仔,金佛个身體開始汗水溚潦。
汗だけでなく、足もフラフラです。
毋只出汗,腳乜吃吃惇。
これは大変と、長者は大きな声で叫びました。
這毋好了,有錢人大聲喊。
「金の仏さまが、そんな木ぎれの仏さまに負けてどうするのです!がんばってください!がんばってください!」
「金佛仰會輸分該種樹頭佛祖?!加油!加油!」
けれど金の仏さまは、とうとう倒れて負けてしまいました。
但係,金佛包尾橫下去,輸忒了。
疲れ果てて、起きあがる力もありません。
昶悿了,連蹶䟘起來个力都無。
その間に木の仏さまは、今まで金の仏さまがまつられていた仏壇の上へあがって座りました。
同時,樹頭佛祖坐在以前供奉金佛个神桌頂。
「ありがたい、ありがたい」
「承蒙,承蒙。」
みんなは、その木の仏さまをおがみました。
逐個人都拜樹頭佛祖。
負けた長者は、約束通りに家を出ていきました。
輸忒个有錢人,照約定離開屋下。
長者の家は、もう使用人の男が主人です。
有錢人屋下,頭過个長工這下變主人。
金の仏さまを抱いた長者は、野原をトボトボと歩いていきました。
揇等金佛个有錢人,無氣無脈行過田野。
そして、金の仏さまに言いました。
過後,摎金佛講:
「お前さんは、どうしてあんな木切れの仏さまなんかに負けたのだね」
「你仰會輸分樹頭佛祖?」
すると、金の仏さまは答えました。
然後,金佛應講:
「相手は木の仏だが、毎日毎日、おぜんを供えてもらって信心されていた。それなのに、わたしは一年に、ほんの二度か三度、お祭りの時におぜんを供えてくれただけ、それにお前さんは信心もしてくれない。力が出ないのは、当たり前ではないか」
「對手个樹頭佛祖,逐日接受供品祭拜,但係𠊎逐年斯有兩三擺祭拜,該量時正有供品,您乜無麼个虔誠,無力係當然个。」
金の仏さまは、悲しそうに泣きました。
金佛盡衰過樣噭出來。
「・・・・・・」
「......」
長者は、返す言葉がありませんでした。
有錢人應毋出來。
おしまい
煞咧
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