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10月12日の日本の昔話
手土産のウナギ
做等路个鰻仔
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ある百姓の若者が商人にあこがれて、自分も何か商売をやってみようと思いました。
頭擺頭擺,有一個後生个農民,當想做生理,自家乜在該想到底做麼个買賣較好呢?
でも、商売をするには元手となる資金が必要です。
毋過,做生理愛本錢。
「困ったな、おれみたいな貧乏人には、誰も金を貸してくれないし」
「還無結煞哪,像𠊎恁苦个人,麼人乜毋會借錢分𠊎。」
色々考えた若者は、村の長者に頼んでみようと思い、手土産に大きなウナギを桶に入れてかついで行きました。
想去想轉想愛去拜託莊內个有錢人,捉條大鰻仔放落桶肚做等路,㧡等斯去有錢人屋下。
長者の家に着くと、若者は手土産のウナギを長者に差し出して、さっそく長者にお願いしました。
到有錢人屋下時節,後生人摎做等路个大鰻仔交分有錢人後,黏時提出要求。
「わたしは青森の八戸に行って、馬を十二頭ほど買ってきたいのです。そのお金を貸していただけませんか。必ずお返ししますので」
「𠊎想愛去青森个八戶,買大約十二條馬,你做得借𠊎買馬个錢無?絕對會還你。」
黙って話を聞いていた長者は、若者に言いました。
企等恬恬聽个有錢人,摎後生人講:
「話しはわかりましたが、あなたと直接話しをするのは、今日が初めてです。そんなあなたに、お金を貸す事は出来ません」
「知你个意思了,毋過摎你面對面講話,今晡日係第一擺,做毋得借錢分你。」
「・・・そうですか。では、失礼します」
「‧‧‧係恁樣嘎?失禮。」
あきらめた若者は、土産に持ってきたウナギをかついで、長者の屋敷を出て行きました。
已經死心个後生人,摎等做路个大鰻仔㧡等,行出有錢人个大人客間。
すると、長者の家の下男が追いかけて来て、若者に言いました。
有錢人个男傭人追等出來摎後生人講:
「旦那さまがお呼びでございます。もう一度、お戻り下さい」
「主人喊你,再過倒轉去一下。」
そして再び座敷に通されると、長者が言いました。
所以佢再過倒轉大人客間,有錢人斯講:
「わたしのところへお金を借りに来る人はずいぶんいますが、持ってきた土産を持ち帰ったのはお前が初めてだ」
「來𠊎這借錢个人當多,摎等路拿轉去你係第一儕。」
「すみません。このウナギは、次に頼む人への土産にします」
「失禮,這條鰻仔愛留來做下一個財主个等路。」
「なるほど。物を無駄にせず、使える物は何度でも使う。どうやら、商売の基本は知っている様だな。・・・よし、お前に、お金を貸してやろう」
「有理哊,東西毋好浪費,做得用个東西較多擺乜用得,像人當瞭解做生理个基本道理。‧‧‧好,𠊎借分你。」
「本当ですか!ありがとうございます」
「有影無!承蒙你。」
こうしてお金を借りた若者は、大喜びで長者の家を飛び出すと、すぐに八戸へ行って馬を十二頭買いました。
恁樣形借著錢个後生人,歡喜壢天飆出有錢人屋下,黏時走去八戶買了十二條馬。
そしてその十二頭の馬を村人たちに売ると、もうかったお金でまた馬を買い、隣の村まで売り歩きました。
牽轉村內賣分村民,賺著个錢又去買馬,賣分隔壁村个村民。
これを繰り返して大金を手にした若者は、借りたお金を長者に返すと、残ったお金を元手に立派な商人になったそうです。
來來回回買又賣、賣又買,賺當多錢个後生人,除忒還有錢人,伸个做本錢,變當有錢个生理人。
おしまい
煞咧
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