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        福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 4月の江戸小話 > あごとかかと 
         
      4月7日の小話 
        
      あごとかかと 
      
      
       江戸の街角で、二人の武士がけんかを始めました。 
 「このやろう」         
        「なにお・・・」 
 二人は刀を抜くと、 
「ていやー」 
「とりゃー」 
と、切り合いました。 
 そして一人があごを切り落とされ、もう一人が足のかかとを切り落とされたのです。 
 すると、近くを通りかかった年寄りが止めに入りました。 
「まあまあ、どういう事情があるのか知りませぬが、切り合いなんぞ止めてくだされ」 
「・・・・・・」 
「・・・・・・」 
 二人は刀をおさめると、互いに切り落とされた物を拾って帰りました。 
 
 その頃、江戸には『どうも』という名医と、『こうも』という名医がいました。 
 一人の武士は『どうも』のところへ、もう一人の武士は『こうも』のところへ行って治療すると、切り落とされた物を見事にくっつけてもらいました。 
 
 しかしどこで入れ違ったのか、一人のかかとからはひげが生え始め、もう一人のあごには、冬になると、あかぎれがきれるということです。 
      ♪ちゃんちゃん 
(おしまい) 
        
         
         
        
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