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6月11日の小話
かま泥棒
お店に、泥棒が入りました。
店の主人は、とてもくやしがって、
「今度入ったら、とっつかまえてやる!」
と、入り口の横に大きなカマを置いてその中にもぐり込み、泥棒が来るのを見張る事にしました。
それから何日かたつと、この前の泥棒が再びやって来ました。
けれど戸じまりがげんじゅうなので、忍び込むことが出来ません。
「ちくしょう。何も取らずに帰ったのでは、泥棒の名折れだ。せめて、この大ガマをもらっていこう」
泥棒が大ガマをかついで逃げ出すと、やがてカマの中からいびきが聞こえてきました。
主人が泥棒を待っているうちに、眠ってしまったのです。
そんな事とは知らない泥棒は、
「何だ? この『グゥーグゥー、ゴォーゴォー』の不気味な音は? もういい、捨てちまおう」
泥棒は道ばたに大ガマをおろすと、逃げていきました。
しばらくして目を覚ました主人がカマのフタを開けてみますと、まわりにはなにもなく、頭の上には星が光っているではありませんか。
主人は、びっくりして言いました。
「しまった! 今度は、家ごとぬすまれた!」
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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