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7月23日の小話
ウマの尻にお札
むかしむかし、ある田舎の村に、ちょっと頭の弱い婿さんがいました。
ある日、嫁さんの家から、
「座敷を作り替えたので、見に来てくれ」
と、使いが来ました。
「へーっ、それじゃあ、見に行くか」
婿さんが出かけようとすると、嫁さんが、
「あなた。座敷のできばえを色々とほめてから、もし柱に節穴でもあったら、そこにお札を貼るように言いなさいよ」
と、教えました。
さて、婿さんが嫁さんの家の座敷のできばえをほめてから柱の節穴を探すと、柱の目立つところに大きな節穴がありました。
そこでお婿さんは、
「あの節穴には、お札を貼るといいでしょう」
と、言いました。
すると、嫁さんの家の人たちは、
(これは、評判よりもかしこい婿さんだ)
と、喜びました。
それから、何日かして、
「今度はウマを買ったので、見に来てくれ」
と、嫁さんの家から、使いが来ました。
婿さんは嫁さんから何も教えられずに飛び出して行きましたから、この前と同じ事を言うつもりです。
婿さんが一通りウマをほめてから良く見回すと、ウマのお尻の穴を見つけました。
婿さんは、
(しめた!)
と、思って、
「おや、ここにも大きな節穴がある。お札を貼ると良いでしょう」
と、言ったものだから、婿さんの頭が弱い事が、いっぺんにばれてしまいました。
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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