|
|
福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 8月の江戸小話 >表札(ひょうさつ)
8月19日の小話
表札(ひょうさつ)
町へ働きに行っていた男たちがお盆休みに帰ってきて、自分の主人の悪口を言い合いました。
「おれのところの主人ほど、物覚えの悪い主人はいないぞ」
「へえ、なぜだい?」
「住み込みで働いている奉公人(ほうこうにん→めしつかい)の名前を、半年たっても覚えられねえんだ。だから奉公人の人相書きを、いつも持ち歩いているのさ」
「なるほど、それはなかなかのものだが、おれのところの主人よりましだ」
「ほう。お前の主人は、もっとひどいのか?」
「ああ、なにしろ自分の名前を忘れないように、名前を板に書いて表門にくぎで打ちつけるんだからな」
それは、表札です。
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
|
|
|