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2月16日の日本民話 2
タマゴから生まれたお坊さん
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むかしむかし、行基(ぎょうき)というえらいお坊さんがいました。
行基は生まれ故郷である大阪やその近くで、弟子やたくさんの信者(しんじゃ)たちと一緒に橋や道などをなおしました。
また、まずしい人たちのために無料の宿泊所(しゅくはくじょ)をつくり、その数だけでも三十にのぼったといいます。
多くの人たちのしあわせと、世の中のためにつくした行基は、五十七歳になった天平十七年(七四五年)、お坊さんで一番高い位の大僧正(だいそうじょう)をさずけられました。
橋などがこわれて人々がこまっているときくと、すぐにそこへでかけていって修理をします。
行基がいくところ、いつも千人もの信者たちがあとにつづいて、工事を手伝っていたといわれています。
さて、行基がふるさとに帰ったときの事です。
池で魚をとって食べていた若者たちが、
「お坊さんというのは生の魚を食べないものだというが、どうだ。ためしてみよう」
と、イタズラを思いたちました。
そして行基に、魚をうすぎりにしてお酢につけたなますをつくってすすめました。
行基はいただいてお礼をいうと、そのなますを口にいれてかんでから、すぐにかたわらの池へいってはきだしました。
するとなますは、たくさんの小さな魚になって水の中を泳ぎだしたのです。
ビックリした若者たちは、自分たちがしたイタズラをはずかしく思い、行基に心からあやまったのでした。
さて、この行基というお坊さんは、ふつうの赤ちゃんよりも二か月も長く、お母さんのおなかにいて、やっと生まれたといわれます。
それと不思議な事に、生まれるときにお母さんのおなかの中からでてきたのは、なんと丸いタマゴだったのです。
両親はおどろきましたが、かといって、そのタマゴをすてるわけにもいかず、鉢(はち)にいれて家の門の前にあるエノキの木の枝につるしておきました。
そして夕方になると、そのタマゴから赤ちゃんの泣き声がきこえてきたのです。
両親が赤ちゃんを家の前にすてていった人がいるのかと思って、いそいでいってみると、木の枝につるした鉢の中の卵がわれて、男の赤ちゃんが生まれていたという事です。
おしまい
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