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3月24日の日本民話 2
おかしな手紙
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制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】
むかしむかし、山道でタヌキとキツネが遊んでいると、向こうから風呂敷包みをかかえた男の子がやって来ました。
それを見つけたタヌキが、キツネに言いました。
「おいキツネどん、あの風呂敷包みの中には、何が入っていると思う?」
「そうだな。この匂いからすると、お餅か、おはぎだと思うよ」
「お餅か。うまそうだな。・・・どうだい? あれを頂くのは」
「よしきた。そんなら、ちょっと脅かしてやるか」
キツネは頭の上に葉っぱを乗せるとクルリと一回転して、たちまち大入道に化けました。
「やい、そこの子ども! その風呂敷包みを置いていけ! 言う事を聞かないと、お前を食べてしまうぞ!」
いきなり飛び出して来た大入道を見て、男の子はビックリです。
「あわわわわ。お化けだー!」
男の子は風呂敷包みを投げ捨てると、転がる様に山道を下りて行きました。
「あははは。だらしのない子どもだ」
キツネは元の姿に戻ると、その風呂敷包みを開きました。
すると中には、思った通りの真っ白いお餅がたくさん入っています。
それを見たタヌキが、喜んで言いました。
「こりゃ、うまそうだ。さっそく二人で食べよう」
でもキツネは、タヌキにお餅をやるのがおしくなりました。
(何とか、一人占めする方法はないかな?)
そう思って包みの中を調べると、うまいぐあいにお餅の横に手紙があります。
「まてまて、何やら書いてあるぞ」
キツネは手紙を取り上げると、一人で読みました。
「そうか、なるほど、なるほど」
「キツネどん、手紙には何て書いてあるんだ?」
「ほれ、自分で読んでみろよ」
キツネはタヌキに手紙を渡しましたが、タヌキは字が読めません。
「キツネどん、すまないが読んでくれないか」
「いいとも」
キツネは自分も字が読めないくせに、すました顔で手紙を読むふりをしました。
「えーと、『このお餅はタヌキが一つ食べ、残りは全部キツネが食べる事。それを守らないと、天神さまの罰が当たる』か」
「ええっ、そんな事が書いてあるのか?」
「そうだ。気の毒だが、あきらめてくれ。」
キツネはガッカリしているタヌキにお餅を一つ渡すと、残り全部を一人で食べてしまいました。
おしまい
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