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福娘童話集 > 日本の民話 その2 > 5月の日本民話

5月28日の日本民話 2

稲妻大蔵(いなづまたいぞう)

稲妻大蔵(いなづまたいぞう)
長崎県の民話長崎県情報

 むかしむかし、諫早(いさはや)の小栗村(おぐりむら)というところに、子どものいない夫婦がいました。
 夫婦は、子どもが欲しくて仕方ありません。
 そこで毎日、天狗の住む八天嶽(はってんだけ)に向かって祈っていると、ある晩、女房は天狗が自分のお腹に飛び込んできた夢を見たのです。
 そして驚いた事に、目覚めた女房はその日の内に、立派な男の子を産んだのです。
 子どもは大蔵(たいぞう)と名づけられ、やがて強い力士に成長しました。
 名も稲妻大蔵(いなづまたいぞう)と改め、江戸で日本一の関取りと取り組む事になったのです。
 相手は日本一の関取ですが、何度やっても大蔵が勝つので、日本一の関取はとうとう、
「頼む、一度だけでも勝たせてくれ。でないとわしは、はずかしくて故郷に帰れん」
と、泣きついたのです。
 心のやさしい大蔵は、
「それなら、一度だけ」
と、わざと負けてやったのですが、ところがそのときから、大蔵はどんなに弱い力士が相手でも、ポイポイと投げ飛ばされてしまうようになったのです。
 そして大蔵は相撲をやめて、諫早にもどって百姓をしていました。
 あるとき、八天嶽(はってんだけ)の頂にある「ゴットン石」という大岩が、地震で深い谷に落ちてしまいました。
 百姓になっても相変わらず力持ちだった大蔵は、このときとばかり再び大力を発揮して、岩をヒョイと肩にかつぐと、山の頂まで運んだということです。

おしまい

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