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8月22日の日本民話 2
熊女房
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むかしむかし、沖縄のある王さまが、中国に留学した時のお話です。
中国での留学を終えて故郷の沖縄へ帰る時、不運にも王さまの船はひどい嵐にあって沈んでしまいました。
海に投げ出された王さまは、運良く小さな島に流れついて助かりましたが、その島は無人島で人間がおらず、一頭のメス熊が住んでいるだけでした。
王さまはその島で七年、八年と暮らすうちに、メス熊と結婚して男の子が生まれました。
生まれた子どもは人間の姿をしていましたが、背中には熊のような毛が生えています。
ある日の事、沖縄の船がこの島のそばを通ったので、王さまは沖縄に帰れる事になりました。
でも、この島で熊を妻にしていたなど、恥ずかしくて言えません。
そこで王さまは熊に食べ物を探して来るように命令して、そのすきに息子だけを連れて船に乗り込んだのです。
そのすぐ後、自分だけ取り残された事に気づいた熊は、すぐに船を追いかけようとしましたが、
「息子もあの人も、わたしがいない方が幸せになれるのだわ」
と、涙ながら、息子と夫を乗せた船を見送ったのです。
こうして王さまと息子は沖縄に帰りましたが、けれども息子は熊の母親が恋しいと、毎晩泣き出したのです。
困った王さまは、
「残念だが、お前の母親は、もう死んでしまったのだよ」
と、言ってなだめようとしましたが、息子は聞き入れません。
そして王さまも、一度は妻にした熊を置き去りにした事を後悔して、二人でこっそり、あの島へ戻って行ったのです。
すると熊は、あの時に夫と息子を見送った姿のまま、悲しみのあまり死んでしまっていたのでした。
それを見た王さまは、死んだ妻に泣いて謝りました。
「すまなかった。人の目を気にする余り、お前をこんな目にあわせてしまって、本当にすまなかった」
王さまと息子は死んだ熊を沖縄に連れて帰ると、立派なお墓を建ててやったそうです。
おしまい
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