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11月14日の日本民話 2
みそ五郎の岩
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むかしむかし、味噌五郎(みそごろう)という力持ちの大男が住んでいました。
この味噌五郎は味噌を腹一杯食べると怪力が出て、どんなに大きな物でも持ち上げる事が出来るのです。
ある日の事、山を切り開く手伝いをしていた味噌五郎が、大きな岩を天秤棒(てんびんぼう)で担いで山のふもとまでやって来ました。
朝に腹一杯の味噌を食べてきた味噌五郎は急な山道を楽々と登っていたのですが、途中で味噌の力がなくなってしまい、へなへなへなとその場に座り込んでしまったのです。
「どうした味噌五郎。こんなところで座り込んだりして」
付き添いの村人たちが尋ねると、味噌五郎は心底疲れた声で言いました。
「実は、腹の中の味噌が、全部無くなってしもうた」
「無くなったって、朝にあれほどの味噌を食っただろう」
「それはそうだが、味噌は力を使えば使うほど無くなるんじゃ。味噌が無くては力が出ない。誰か、味噌をなめさせてくれんか」
しかし村人たちは、そんな味噌五郎に冷たく言いました。
「大切な味噌を、そう簡単にはやれんたい。腹が減ったのなら、イモでも食えばええんじゃ」
「なんじゃと。そげん言うなら、もう力ば出せんわ」
味噌五郎はそう言うと、運んできた二つの岩を置き去りにして行ってしまいました。
この岩はやがて大城公園(おおじょうこうえん)に転がり落ちて、今では小城(こじょう)と呼ばれています。
また、近くには『おおこ瀬』と呼ばれている釣りの名所があって、ここに長くつながった岩があるのですが、それは味噌五郎が担いだ天秤棒が岩になったものだと伝えられています。
おしまい
→ みそ五郎まつり
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