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福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 11月の江戸小話 > 大仏さまとおまんじゅう
11月14日の小話
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大仏さまとおまんじゅう
ある茶店で、奈良の大仏さまを見てきた男が、まんじゅうを注文しました。
「ほほう! ふっくらとした、うまそうなまんじゅうだ」
「はい、あんこをたっぷり入っておりますし、おいしさは天下一品です。こんなにうまいまんじゅうは、よそでは食べられないと思いますよ」
「そうか、確かにうまそうだ」
さて、まんじゅうを食べ終えた男が、財布を取り出して言いました。
「うまいまんじゅうであった。それで、代金はいくらだ?」
「はいはい。一皿三つで、九十文(→三千円ほど)いただきます」
茶店の主人がそう言うと、男は目をパチクリさせながら文句を言いました。
「えっ! なんだって? こんなに小さなまんじゅうが、一つ三十文もするのかい? 値段の割には、まんじゅうが小さすぎるではないか!」
すると茶店の主人は、すました顔で言いました。
「それはお前さまが大仏さまを見て来たばっかりだから、とくべつに小さく見えるのでしょうよ」
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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