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元旦の世界の昔話
モンゴルの十二支話
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むかしむかし、神さまは十二種類の動物をそれぞれの年の大将にして、この世に誕生したばかりの人間たちの教育係にしようと考えました。
「牛は真面目に働くから、人間たちの仕事を手伝ってくれるだろう。
よし、十二支にしよう。
トラは力が強くて狩りが上手だから、人間たちに狩りを教えてくれるだろう。
よし、十二支にしよう。
ウサギは素早く逃げるので、人間たちに敵からの逃げ方を教えてくれるだろう。
よし、十二支にしよう。
龍は天に昇れるので、神の言葉を人間に伝えてくれるだろう。
よし、十二支にしよう。
ヘビは何事にも粘り強いので、人間たちに粘り強さを教えてくれるだろう。
よし、十二支にしよう。
馬は地を早く駆ける事が出来るので、人間たちの移動を手助けしてくれるだろう。
よし、十二支にしよう。
ヒツジの毛からは、寒さを防ぐ衣服を作る事が出来るから、寒さに弱い人間たちには必要だろう。
よし、十二支にしよう。
サルは頭が良いので、人間たちに色々な知恵を授けてくれるだろう。
よし、十二支にしよう。
ニワトリは時を告げてくれるので、人間たちに規則正しい生活を教えてくれるだろう。
よし、十二支にしよう。
犬は忠実なので、人間の良き友だちになってくれるだろう。
よし、十二支にしよう。
イノシシは真っ直ぐ進むので、人間たちが曲がった道にそれるのを防いでくれるだろう。
よし、十二支にしよう。
・・・さて、これで十一支が決まったが、もう一支をどの動物にするか?」
神さまが頭を悩ませていると、ネズミとラクダが立候補しました。
「神さま。もう一支は、わたしたちネズミにお任せ下さい。ネズミは子育てが上手なので、人間たちに子育てを教える事が出来ます」
「いいえ、もう一支は、おれたちラクダに任せてください。おれたちは重い荷物を持って長く旅が出来るので、人間たちの旅を手助けする事が出来ます」
「ふむ、子育てと、旅の手助けか」
どちらの動物も人間たちの生活に役立ちそうなので、神さまはますます悩みました。
そこで二匹に、こんな提案をしました。
「それでは、太陽に決めてもらうとしよう。もうすぐ夜明けだから、最初に朝日を見た方を十二支に加えよう」
「わかりました。それで決めましょう」
「おれも、それでいいです」
こうしてラクダとネズミは、その場に立って朝日が出るのを待ちましたが、頭の良いネズミはこんな事を考えました。
(まてよ。朝日は低いところよりも、高いところを先に照らすはずだ。そうすると、背の低いわたしは不利だ)
そこでネズミはラクダの体に駆け上ると、ラクダの頭の上に立って朝日を待つ事にしたのです。
やがて、朝日が顔を見せました。
そしてネズミの考え通り、少しでも高いところにいるネズミを、朝日は最初に照らしたのです。
「朝日が見えたぞ!」
こうしてネズミが、残りの十二支に選ばれました。
一方、十二支に選ばれなかったラクダは、くやしくてたまりません。
「こんなのずるい! 本当なら、背が高いおれたちラクダが十二支に選ばれたはずなのに!」
ラクダがあまりにもくやしがるので、神さまがラクダに言いました。
「ラクダよ、それではお前の体に、十二支たちの良い特徴を与えてやろう。だから、それで我慢しておくれ」
こうしてラクダは、神さまに十二支たちの特徴をもらう事にしました。
その特徴とは、
・耳は、ネズミ。
・お腹は、牛。
・足の裏は、トラ。
・鼻は、ウサギ。
・つよい体は、龍。
・目は、ヘビ。
・たてがみは馬で、その毛はヒツジ。
・背中のこぶは、サル。
・頭の毛は、ニワトリのとさか。
・太ももは、犬。
・尻尾は、イノシシです。
それでラクダの体は、それぞれ十二支の特徴をもらっているので、今の様な少し変わった姿をしているのです。
おしまい
日本に伝わる十二支のお話 → ネコがネズミをおいかけるわけ
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