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4月20日の世界の昔話
水晶のオンドリ
イタリアの昔話 → イタリアの国情報
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「フー」 ピッコロ朗読館
むかしむかし、あちらこちら旅をしている、一羽のオンドリがいました。
透き通る様な真っ白の羽をしているので、水晶(すいしょう)のオンドリと呼ばれています。
ある日、水晶のオンドリは道ばたに一通の手紙が落ちていたので、拾って開けてみました。
《水晶のオンドリさん、水晶のメンドリさん、伯爵夫人(はくしゃくふじん)のガチョウさん、尼寺(あまでら)のアヒルさん、小鳥のかわらひわさん、ヒヨコの結婚式にまいりましよう》
手紙は、結婚式の招待状(しょうたいじょう)でした。
オンドリは自分が招かれているので、結婚式に行こうと歩き出しました。
すると向こうから、やはり水晶の様に白くて美しいメンドリがやって来ました。
「もしもし、水晶のオンドリさん。うれしそうにどこへ行くんです?」
と、メンドリが声をかけました。
「ヒヨコの結婚式に、招かれて行くんだよ」
と、オンドリが答えました。
「わたしも、行ってはいけません?」
と、メンドリが聞きました。
「招待状に、名前がのっていればね」
オンドリは、手紙を開けて読みました。
「水晶のオンドリさん、水晶のメンドリさん。・・・やっぱり、お前さんの名前も書いてある。では一緒に行こう」
こうして二羽のニワトリは、仲良く旅を続けました。
すると向こうから、長い首を振りながら気取った歩き方をしたガチョウがやって来ました。
「おや。オンドリさんにメンドリさん。仲良くうれしそうに、どちらへいらっしゃるの?」
と、ガチョウが声をかけました。
「ヒヨコの結婚式に、招かれて行くんです」
と、オンドリが答えました。
「わたしも行っては、いけませんの?」
と、ガチョウが聞きました。
「招待状に、名前がのっていればね」
オンドリは、また手紙を開いて読み出しました。
「水晶のオンドリさん、水晶のメンドリさん、伯爵夫人のガチョウさん。なるほど。あなたのお名前ものっている。では一緒にまいりましょう」
こうして三羽の鳥は、いそいそと旅を続けました。
すると向こうから、黒い羽をしたアヒルがやって来ました。
まるで、尼さんそっくりの姿です。
「おや。ガチョウさんにオンドリさんにメンドリさん。おそろいで、どこへ行くんです?」
と、アヒルが聞きました。
「ヒヨコの結婚式に、招かれて行くんです」
と、オンドリが答えました。
「わたしも、ご一緒出来ませんか?」
「招待状に、名前がのっていればね」
そう答えて、オンドリはまた手紙を読み出しました。
「水晶のオンドリさん、水晶のメンドリさん、伯爵夫人のガチョウさん、尼寺のアヒルさん。なるほど、書いてある」
こうして四羽の鳥は、歩いて行きました。
すると向こうから、ほおが赤くて翼が金色のかわらひわが飛んで来ました。
「みなさん、どこへいらっしゃるの? アヒルさんに、ガチョウさんに、メンドリさんに、オンドリさん」
と、かわらひわが声をかけました。
「ヒヨコの結婚式に、招かれて行くんです」
と、オンドリが答えました。
「あら、わたしも行きたいわ。連れて行ってくれません?」
と、かわらひわが頼みました。
「招待状に、名前がのっていればね」
オンドリは、また手紙を開きました。
「水晶のオンドリさん、水晶のメンドリさん、伯爵夫人のガチョウさん、尼寺のアヒルさん、小鳥のかわらひわさん。ああ、やっぱりあんたも招かれている」
こうして五羽の鳥は、旅を続けました。
すると向こうから、目をギラギラ光らせたオオカミがやって来ました。
「おい、おい! みんなでどこへ行くんだね!」
と、オオカミは、ドラ声を張り上げました。
「ヒヨコの結婚式に、招かれて行くんです」
「わしも、行ってはいかんかね!」
「はい、はい、招かれていれば」
と、オンドリはまた手紙を開けました。
「オオカミさん。残念ながら、あなたは招かれておりません」
「だけど、わしは行きたいよ!」
「・・・・・・」
鳥たちはオオカミが怖いので、一緒に行く事にしました。
しばらくいくと、
「わしは、腹が減った!」
と、オオカミが言い出しました。
「せっかくですが、何もありません」
「じゃ、お前を食ってやる!」
そう叫ぶと、オオカミはオンドリを飲み込んでしまいました。
それから同じ事を言っては、メンドリも、ガチョウも、アヒルも食べてしまったので、あとは小鳥のかわらひわだけになりました。
こうして、しばらくいくと、
「かわらひわさん。わしは、また腹が減ってきたよ!」
と、オオカミが言い出しました。
「何をあげたら、いいのかしら」
「お前を食えばいいのさ!」
オオカミは飛びかかりましたが、小鳥は素早くオオカミの頭の上に飛び乗りました。
オオカミが捕まえ様とすると、あっちへ逃げ、こっちへ飛びするので、オオカミはヘトヘトに疲れてしまいました。
すると向こうから、頭にかごを乗せた女の人がやって来ました。
ムギの刈り入れの人たちに、食事を運んで行くところです。
「オオカミさん、オオカミさん。わたしの命を助けてくれるなら、ほら、向こうから来る女の人の頭の上のカゴの中のマカロニや肉をごちそうしますよ」
と、かわらひわが叫びました。
「そんな事が、出来るのか?」
「はい。あの人は、必ずわたしを捕まえようとしますよ。わたしは枝から枝へ逃げ回ります。すると、あの人はきっとカゴを地面に置いて、わたしを追いかけます。そのすきに、あんたはごちそうをみんな食べられますよ」
本当にその通りで、女の人は夢中でかわらひわを追いかけました。
そのすきに、オオカミはカゴのごちそうを食べてしまいました。
「きゃーーーぁっ!、オオカミが出たあ! 助けてー!」
女の人の叫び声を聞いて、お百姓(ひゃくしょう)たちが飛んで来ました。
そして、カマや棒でオオカミを叩き殺してしまいました。
オオカミのお腹からは生きたままで、オンドリも、メンドリも、ガチョウも、アヒルも出て来ました。
こうして、かわらひわのおかげで、みんなそろってヒヨコの結婚式に行きました。
おしまい
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