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4月20日の日本の昔話
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投稿者 「カボスひろし」 大分県産カボスひろしTV
病気のお見舞い
吉四六(きっちょむ)さん → 吉四六さんについて
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
日本語&客家語
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投稿者 「カボスひろし」 大分県産カボスひろしTV
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投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人もぐっすり眠れる睡眠朗読】日本昔話集⑨ 優しいとんち話 元NHKフリーアナ 読み聞かせ
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制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】
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投稿者 「眠りのねこカフェ」
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
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ある時、庄屋(しょうや)さんが風邪をひいてしまいました。
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「庄屋さんは口うるさいから、見舞い(みまい)に行っておかんと、後で何を言われるか分からんからな」
村人たちは次々と見舞いに出かけましたが、ひねくれ者の吉四六さんは、みんなが見舞いを終えた後に、一人で出かけました。
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「庄屋さん、お加減はいかがでしょうか?」
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「何じゃい、今頃。村の者がみんな早く見舞いに来てくれたというのに、お前は一体、今頃まで何をしておった? 何をさておいても見舞いに駆けつけるのが、礼儀というものではないか」
庄屋さんは、プリプリと文句を言いました。
「いえ、実は、庄屋さんにもしもの事があってはいけないと、お医者さんを呼びに行ったのです。あいにく、お医者さんは出かけておりましたので、また帰りに寄って頼んできます」
すると庄屋さんは、たちまち機嫌を治して、
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「そうか、そうか。さすがは吉四六さんじゃ。よく気が利く。さっきは叱ったりして悪かったな。お医者さんには、もう大丈夫だからと言ってくれまいか」
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と、吉四六さんを、酒やごちそうでもてなしました。
ところが何日かすると、庄屋さんの風邪がぶり返したというので、村のみんながまた、ぞろぞろと見舞いに出かけました。
吉四六さんが一番最後に見舞いに行くと、庄屋さんは息もたえだえに、
「ああ、よく来てくれた。今度も気を利かせて、お医者さまを呼んで来てくれたか?」
と、吉四六さんの手を取りました。
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ところが吉四六さんは、首を横に振って言いました。
「いやいや。
どうも、今度ばかりは助かりそうもないと思って、お寺のお坊さんを呼びに行ったり、お葬式(そうしき)の棺(かん)おけやら、お通夜の後に出す料理の材料の手配をして来ました。
それですっかり、遅くなりました」
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吉四六さんの、あまりの手回しの良さに、庄屋さんはカンカンに怒りました。
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「この馬鹿者! わしは、まだまだ死なんぞ! 気を利かすにも、ほどがあるわ!」
この怒った勢いで、庄屋さんの病気はすっかり治ってしまったそうです。
おしまい
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