福娘童話集 > きょうの世界昔話 福娘童話集 きょうの世界の名作・昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの世界昔話 > 7月の世界昔話 > 天の川と七夕

7月6日の世界の昔話

天の川と七夕

天の川と七夕
中国の昔話中国の情報

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 眠れる森のくま

♪音声配信(html5)
朗読者 : スタヂオせんむ

 むかしむかし、あるところに、一人の貧しい若者がいました。
 若者の仕事は、年を取った牛の世話です。
 そのため人々は、若者の事を牽牛(けんぎゅう)と呼びました。
 牽牛とは、牛引きという意味です。

 ある日の事、一匹の牛が主人の牽牛に言いました。
「ご主人さま、南の川に行ってごらんなさい。美しい天女たちが水浴びをしていますよ。もし、天女をお嫁さんにしたかったら、天女の羽衣(はごろも)を一枚取り上げるのです」
「天女がお嫁さんか。いいな」
 そこで牽牛が南の川に行ってみると、確かに七人の天女たちが楽しそうに水浴びをしていました。
 牽牛はそっと岸に忍び寄ると、脱ぎ捨てられていた羽衣に手を伸ばしました。
 しかしそれに気がついた天女たちは、あわてて自分の羽衣をつかむと、ひらりひらりと天に舞い上がってしまったのです。
 それでも牽牛は、何とか一枚の羽衣を手に入れる事が出来ました。
 そして羽衣を取られて天に帰る事が出来なくなった一人の天女が、泣く泣く牽牛のお嫁さんになったのです。
 この天女の名前は、織姫(おりひめ)と言います。

 さて、それからほどなくして、牽牛に天女の事を教えてくれた牛が重い病気にかかりました。
 牛は、牽牛に言いました。
「わたしが死んだら、わたしの皮をはいで金の粉をつめてお持ちなさい。それと一緒に、この鼻輪もお持ちなさい。そうすれば、きっと助けになるでしょう」
 やがて牛が死ぬと、牽牛は言われた通りにしました。

 それから、三年の月日が流れました。
 織姫は牽牛との間に、男の子と女の子を一人ずつ産みました。
 二人の子どもの母親になった織姫ですが、織姫は一日たりとも天の事を忘れた事はありません。
 織姫は牽牛の顔色を見ては、
「わたしの羽衣は、どこにあるのですか?」
と、何度も何度も尋ねました。
 しかし牽牛はいつも、
「さあ、どこにあるか忘れたよ」
と、言うばかりです。
 でもとうとう、織姫は酒に酔って機嫌の良い牽牛から、羽衣を隠してある場所を聞き出したのです。
「しまった!」
 ふと我に返った牽牛は、あわてて織姫を引き止めようとしたのですが、その時にはもう、織姫は衣をまとって天に舞い上がった後でした。
「頼む、行かないでくれ!」
 牽牛は二人の子どもを両わきにかかえると、織姫を追ってふわりと空に飛び上がりました。
 実は持っていた牛の皮の力で、牽牛は空を飛ぶ事が出来たのです。
 織姫は牽牛の姿を見ると、かんざしを抜いて天に長い線を書きました。
 すると線はみるみる広がって、流れの早い川になりました。
 そこで牽牛は牛の皮につめた金の粉を川にまいて、金の砂地の道を作りました。
 そして牽牛がなおも追いかけて行くと、織姫はまた線を引きました。
 今度の線は、大きな天の川になりました。
 金の粉を使い果たした牽牛には、もうどうする事も出来ません。
「ちくしょう!」
 怒った牽牛は、肩にかけた鼻輪を向こう岸に投げました。
 すると織姫も、
「何をするのよ!」
と、はたおりのおさを向こう岸に投げ返しました。
「二人とも、やめなさい」
 ふいに、まっ白いひげの神さまが現れて言いました。
「天の世界でけんかをするとは何事です! 二人とも、今すぐ仲直りをしなさい」
 神さまの命令では、仕方ありません。
 牽牛と織姫は、しぶしぶ言いました。
「では、わたしたちは一年に一度だけ、会う事にします」
 こうして二人は七の月の七の日に、天の川で会う約束をしたのです。
 それが、七月七日の七夕です。

 天の川を見ると、牽牛と織姫の星のそばには小さな星が二つ見えますが、それは夫婦げんかをした時に投げ合った、鼻輪とおさと言われています。

おしまい

前のページへ戻る


     7月 6日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
ゼロ戦の日
きょうの誕生花
浜万年青(はまおもと)
きょうの誕生日・出来事
1948年 瀬川瑛子(歌手)
恋の誕生日占い
笑顔がとても素敵で、ユーモアセンスが抜群
なぞなぞ小学校
足から入って、肩から出る物は?
あこがれの職業紹介
中学校教諭
恋の魔法とおまじない 188
手紙の返事をもらうおまじない
  7月 6日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
左甚五郎の忘れ傘
きょうの世界昔話
天の川と七夕
きょうの日本民話
七月七日のカッパ
きょうのイソップ童話
キツネと王さまに選ばれたサル
きょうの江戸小話
やかん
きょうの百物語
牡丹灯籠(ぼたんどうろう)

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ