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7月27日の世界の昔話
四色のさかな
アラビアンナイト → 千夜一夜物語
むかしむかし、一人のおじいさんが、海へさかなを取りに行きました。
でもその日は、何度海へアミを投げても、ちっともさかなが取れません。
けれど最後にやっと、重いものがアミにかかりました。
「よしよし、きっと大きなさかなが入ったに違いない」
おじいさんが大喜びで引きあげてみると、なんとそれは銅のつぼでした。
「やれやれ、ただのつぼか。がっかりだな。・・・でも、中に何が入っているのだろう?」
おじいさんは、つぼのふたを開けてみました。
するとつぼからモクモクと、たくさんの煙が立ちのぼりました。
煙は空いっぱいに広がって、それから人の形になり、おじいさんのそばに立ちました。
現れたのは、ツボの魔神です。
「ありがとう、おじいさん。わしは千年もの間、このつぼに入っていて、ずいぶんつらい思いをしてきた。いまやっと自由になれて、こんなうれしい事はない。お礼に、いい物をあげましょう」
魔神はそう言うと、おじいさんを湖につれて行きました。
「ここに、アミを投げてください。きっと、あなたの幸せにするでしょう」
おじいさんがその湖にアミを投げると、赤、白、青、黄と、四つの色のきれいなさかなが取れました。
「見たこともない、珍しいさかなだ!」
おじいさんが四色のさかなを王さまにさしあげると、王さまはお返しにたくさんお金をくれました。
さてその四色のさかな、いくら気をつけて焼いても、すぐにまっ黒になってしまってしまい、どうしても食べられませんでした。
「不思議なさかなだ。わしはきっと、このさかなの秘密をといてやるぞ」
王さまはおじいさんに案内させて、さかなの取れた湖へ行きました。
すると湖の向こうに、まっ黒なあやしいご殿がありました。
王さまが城へ入って行くと、そこには立派な服を着た若者がベッドに腰かけていました。
「ごめんください。おじゃましてもいいですか?」
王さまが声をかけると、若者はおじぎをして言いました。
「はい、もちろん。ただ、立ってごあいさつしたいのですが、わたしには出来ません。そのわけを、ごらんください」
若者が長い服のすそをめくると、なんと若者の腰から下が石になっているのでした。
「実はわたしはこの国の王でしたが、悪い魔女のために体の半分を石に変えられてしまったのです。
この国を自分の思うままにするため、魔女は山にも町にも魔法をかけました。
町の人たちは四色のさかなにかえられて、湖に住むようになりました。
今も魔女はこのご殿の奥に住んでいて、毎日、わたしをぶちに来て苦しめているのです」
この話を聞いた王さまは、どうしてもこの若者や四色のさかなにされている町の人たちを助けなければと思いました。
「よろしい。わたしがきっと、その悪い魔女を退治してあげましょう」
王さまは勇ましく、ご殿の奥に入って行きました。
そして魔女と戦って、ついに魔女をやっつけたのです。
魔女がいなくなると若者の体は元通りになり、湖はにぎやかな町になりました。
赤、白、青、黄のさかなたちも、人間に戻りました。
王さまは助けた若者を、自分の王子にしました。
そして、四色のさかなを取ってきたおじいさんに、
「お前のおかげで、大勢の人たちを助けることができた」
と、たくさんのごほうびをやったということです。
おしまい
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