8月9日の世界の昔話
むかしむかし、あるところに、大きな大きな墓場がありました。 ここにはたくさんの死んだ人の魂が眠っていて 、どの魂もみんな、もう一度生き返りたいと思っていました。 ある日の事、一人のおばあさんが死んで、 この墓場にほうむられました。 でも、おばあさんは、永い眠りにつこうとはしませんでした。 「ああ、生きたい。生きたい」 おばあさんはそう言いながら土をかきわけて、 お墓の中から上半身を出して来たのです。 ところが外はたいへんに寒かったので、 おばあさんは上半身を出したままブルブルと震えました。 するとそこへ、一人の男の子が通りかかりました。 おばあさんは、男の子に言いました。 この冷え切った体を、暖めるから。 体が暖まればここから出られるし、ここから出ればあたしは生き返られるんだ」 「・・・・・・」 でも男の子は、首を横に振りました。 「・・・・・・」 おばあさんがいくら頼んでも、男の子はおびえたように首を横に振るだけです。 寒さが我慢出来なくなったおばあさんは仕方なく、またお墓の中に入って行きました。 おばあさんはそれっきり、 二度と外へは出て来ませんでした。 おしまい |
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