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8月30日の世界の昔話
どうか、ないしょに
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むかしむかし、とても貧乏で、とても見栄っ張りな男がいました。
この男はお金がないのに、いつも見栄を張ってお金持ちのふりをしているのです。
「おれは代々の大金持ちで、親から受け継いだ山が三十もあるんだ。
おれはいつも金のタライで顔を洗って、銀の食器で食事をしているんだ」
さて、この話しを聞きつけた泥棒が、夜中になって男の家に忍び込みまし。
「さすがに山は盗めないが、金のタライに銀の食器か。これは、楽しみだ」
しかし泥棒は男の家がとても小さくて、盗む物が何一つないのでびっくりです。
「何だ、この家は?!
入る家を、間違えたかな?
・・・いや、確かにこの家だ。
大金持ちだと思って入ったのに、金のタライや銀の食器どころか、茶わん一つないではないか。
こいつは、とんでもない所へ入ってしまったわい」
泥棒がそう言って出て行こうとすると、それに気づいた男が泥棒を呼び止めました。
「これはこれは、泥棒さま。
せっかく入っていただいたのに、何のおあいそうも出来ませんで。
少ないですが、せめてこれを」
男はそう言って、泥棒に全財産が入った小銭入れを差し出しました。
そして泥棒に、手を合わせてお願いします。
「泥棒さま。どうか今夜の事は、内緒にしてくださいね」
この男、本当に見栄っ張りですね。
おしまい
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