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12月14日の世界の昔話
クモとリス
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むかしむかし、畑仕事の上手なリスが、大きなトウモロコシ畑を作りました。
取り入れが近づいたある日、クモがリスの畑を見つけました。
「ほう、これは立派なトウモロコシ畑だ。いったい、誰の畑だろう?」
クモは辺りを見回しましたが、畑の近くには道がありません。
それもそのはずで、リスは地面を通らずに木の枝を伝ってここまで来ていたからです。
「はてな? 畑の周りには道どころか、足あと一つないぞ。・・・うむうむ。ひょっとするとこれは、この畑をちょうだい出来るかも」
クモはある作戦を思いついて、ニヤリと笑いました。
そして家に帰ったクモは、家族みんなに言いました。
「いい話があるんだ。明日一日しっかりと働けば、もう来年まで働かなくってもいいよ」
次の日、クモの家族は家からトウモロコシ畑まで続く、長い長い道をつくりました。
これなら誰がも見ても、トウモロコシ畑はクモの畑だと思うに違いありません。
「よし、これで畑はおれたちの物だ。みんな、トウモロコシを取り入れるんだ」
「はーい」
クモの親子はトウモロコシを取り入れると、自分たちの家まで運ぼうとしました。
そこへ、本当の持ち主のリスがやってきたのです。
リスは枝から飛び降りると、クモに言いました。
「こらドロボウ! どうして、ぼくのトウモロコシをぬすむんだ!」
するとクモは、平気な顔で言い返しました。
「何を言っているのですか? この畑のトウモロコシは、わたしたちの物です。あなたこそ、人の畑に飛び込んできて失礼ではありませんか」
「うそだ! これはぼくの畑だ!」
リスがカンカンに怒ると、クモはニヤリと笑って言いました。
「へえ、あなたの畑ですって? アハハハハ、笑わせないでくださいよ。ここにはわたしたちの家につながる道以外、ほかに道なんかないじゃありませんか」
「ぼくは、木を伝って来るんだ。だから道なんか、いらないんだ」
「そんな言い訳を。ここで言い合っていても、仕方がありません。このトウモロコシ畑が誰の物か、裁判官に決めてもらいましょう」
リスとクモは、裁判所へ行きました。
そして裁判官に裁判を頼むと、裁判官が言いました。
「もう一度確認するが、畑の道はクモの家につながっているのだね」
「はい、そうです」
「リスの家には、道がつながっていないのだね」
「はい、木を伝って行くので」
「そうか。だが道がない以上、畑がリスの物だというしょうこはない。だから畑は、家まで道がつながっているクモの物だ」
「はい、ありがとうございます」
「そっ、そんな・・・」
次の朝、クモの親子が取り入れたトウモロコシを引っ張って、自分の家に運んで行くのをリスは悲しそうに見ていました。
その時、突然空が暗くなって、大粒の雨がたきのように降ってきたのです。
小さなクモにしてみれば、雨粒はサッカーボールのように大きいのでとても危険です。
「みんな、あの木の穴に隠れるんだ!」
クモの親子は、すぐに木の穴に飛び込みました。
雨はしばらくするとぴたりとやんで、また青空が広がりました。
「やれやれ、雨があがったな。よし、今のうちにトウモロコシを家に運ぼう」
クモはトウモロコシを置いてきたところに、引き返しました。
するとそこには大きなカラスがいて、トウモロコシの上で羽を広げてトウモロコシが雨にぬれるのを守っていたのです。
カラスのおかげで、トウモロコシは少しもぬれていません。
クモはカラスに頭を下げて、お礼を言いました。
「ありがとう、カラスさん。わたしたちのトウモロコシを、守ってくれたんですね」
するとカラスが、イジワルな顔で言いました。
「あんたのトウモロコシだって? じょうだんじゃない! これはおれのだよ。だいたい、道ばたに大事な荷物を置きっぱなしにしていくやつなんて、いないだろう。このトウモロコシは、おれの物だ」
そう言ってカラスは大きなツメでトウモロコシをつかむと、そのまま空高くまいあがって行きました。
おしまい
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