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5月18日のイソップ童話
1人息子と絵にかいたライオン
気の小さい年取った父親に、1人息子がいました。
息子はたいそう勇敢で、猟が大好きでした。
あるとき父親は、息子がライオンの爪で引きさかれて死ぬ夢を見ました。
「もしこの夢が正夢で、本当にこうなったらたいへんだ」と、心配した父親は、高いところにりっぱな部屋をつくって、息子をとじこめました。
部屋の壁には、いろいろな動物の絵がかいてあって、その中にはライオンの絵もありました。
これは、息子がたいくつしないようにと、父親が絵かきにかかせたものですが、息子はちっともよろこばず、かえってイライラするばかりでした。
ある日、息子はライオンの絵に向かって、
「いまいましいけだものめ。ぼくがこんなろうやにとじこめられたのは、おまえと、おやじが見た変な夢のせいだぞ。ようし、思い知らせてやる」
こう言いながら、息子はライオンの目をつぶしてしまおうとして、壁に殴りかかりました。
ところが、ちょうどそこにくぎがつきでていたので、手をけがしてしまい、そのけががもとで息子は死んでしまいました。
ライオンといっても、絵にかいたライオンですが、それでも息子は本当にライオンに殺されてしまったのです。
自分の運命には自分で立ち向かわなければなりません。
部屋に閉じこもるといったごまかしではなく、正面から勇敢に立ち向かっていくべきだと、この話はおしえています。
おしまい