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1月24日の世界の昔話

人間に飼われるようになったけもの

人間に飼われるようになったけもの
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 むかしむかし、一人の牧師(ぼくし)さんが、お嫁さんをもらうことになりました。
 そこで、そのあたりに住む動物たちを結婚式にまねきました。
 クマと、オオカミと、ヒョウと、キツネと、シロギツネと、ウマと、ウシと、ヤギと、ヒツジと、トナカイがまねかれました。
 一番はじめに、クマがでかけていき、とちゅうで男の子にであいました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
と、クマがこたえました。
「いかないほうがいいよ。クマさんの毛皮はあたたかくてすばらしいだろう。みんな毛皮がほしくなって、クマさんをうちころして皮をはいでしまうよ」
 クマは男の子のいうことを聞いて、森へ帰っていきました。
 こんどは、オオカミがやってきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
と、オオカミがこたえました。
「いかないほうがいいよ。オオカミさんの毛皮はとても役にたちそうだからね。もう、森へ帰れなくなるかもしれないよ。それでもいいのかい?」
 オオカミはクマとおなじように、結婚式にいくのをやめて帰りました。
 するとこんどは、ヒョウがきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねると、
「牧師さんの結婚式に」
と、ヒョウがこたえました。
「いかないほうがいいよ。ヒョウさんの毛皮は、人間たちがみんなほしがっているからね。むこうヘつくとつかまえられて、もう二度と歩けなくなってしまうよ」
 ヒョウは男の子のいうとおりだと思って、森ヘ帰ることにしました。
 そのつぎに、キツネがきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
と、キツネがこたえました。
「気をつけないとだめだよ。キツネさんの毛皮はとても人気があるんだよ。命をおとしにいくことになるかもしれないよ」
 これを聞くと、キツネはクルリとむきをかえて、森の中へにげていきました。
 こんどは、シロギツネがきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
「おやまあ、気のどくに。そこへいってなにをするつもりなんだい。イヌがきみをたべちゃうだろうよ」
 シロギツネはビックリして、帰っていきました。
 こんどは、ウマがやってきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
「いかないほうがいいよ。ウマさんは力もちだから、つかまえられて働かされちゃうよ。もう遊べなくなっちゃうよ」
と、男の子はいいましたが、ウマは、
「だいじょうぶさ。たとえロープをつけられたって、にげたくなったら、ロープなんかきってくるから」
と、いって、結婚式の場所ヘいそぎました。
 そしてそこへつくと、ウマは働かされることになりました。
 つぎに、メスウシがやってきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
「いかないほうがいいよ。ウシさんはミルクをたくさんだしてくれるし、ウシさんの皮は役にたつし、そのうえ肉はおいしいから、人間たちはほうってはおかないと思うよ」
「だいじょうぶよ」
 男の子のいうことを聞かず、メスウシは旅をつづけました。
 そして人間たちのところにつくと、ロープでしばられて、かわれることになりました。
 こんどは、ヤギがやってきました。
 ヤギも、男の子のいうことを聞こうとはしませんでした。
 ですから、ウマやウシとおなじように、人間にかわれることになりました。
 そのつぎに、ヒツジが通りかかりました。
 男の子は、人間たちがヒツジの毛と肉をほしがっているから、いかないほうがいいといってとめました。
 けれども、そんなことにはおかまいなしに、ヒツジはさっさと結婚式に、いってしまいました。
 そしてとうとう、かえってきませんでした。
 さいごに、トナカイがやってきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
「トナカイさんは、どの動物よりもはやく走れるんだから、みんながきみをかえしちゃくれないよ」
「わたしなら心配いりません。わたしをしばろうとしたって、さっとにげてきますよ」
 トナカイはそういって、結婚式の場所へいそぎました。
 トナカイは男の子のいったとおりつながれて、ソリをひかされるようになりました。
 さて、男の子の注意を聞いた動物たち「クマと、オオカミと、ヒョウと、キツネと、シロギツネ」は、いまでも自由に森の中をはねまわっています。
 ところが「ウマや、ウシや、ヤギや、ヒツジや、トナカイ」のように、いうことを聞かなかった動物たちは、それからというもの、ずっと人間にかわれるようになったのです。

おしまい

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