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2009年 11月13日の新作昔話

山のけんか

山のけんか
長野県の民話

 むかしむかし、八ヶ岳(やつがだけ)と富士山(ふじさん)は、とても仲が悪かったそうです。
 二つの山は、このあたりでは自分が一番立派な山だと思っています。
 だから、顔を合わせればいつも、
「おれの方が高いぞ」
「何を言うか、わしが高いに決まっとるだろう」
「なにー!」
「なんだとー!」
と、けんかをするのです。
 そしてある日、二つの山が背比べをして決着をつけようという事になったので、審判役に山の神さまが呼ばれました。
「さて、どうやって背比べをしたものか」
 考えた神さまは、長い長いといをつくって、二つの山のてっぺんにさしかけました。
 そしてひしゃくで海の水をすくい、といの真ん中あたりに流したところ、水はすすーっと富士山の方に流れていくではありませんか。
「水は、高いところから低いところへ流れる。と言う事は、八ヶ岳の方が高い。背比べは、八ヶ岳の勝ちだ!」
 神さまが叫ぶと、
「ほれ見ろ。富士山のちび助。やっぱりわしが一番だろ」
と、八ヶ岳は大喜びです。
 一方、負けた富士山はくやしくてたまりません。
「くそー! 馬鹿にしやがってー!」
 富士山は頭から火を吹いて暴れ出すと、その勢いで八ヶ岳を吹き飛ばしてしまいました。
 そのため八ヶ岳は頭が崩れ落ちて富士山よりも小さくなった上に、今みたいに八つの峰に分かれてしまったのです。
 そして今でも二つの山は仲が悪いのか、そっぽを向いたまま立っているのです。

おしまい

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