2011年 1月31日の新作昔話
節分の鬼の恩返し
節分のお話し
むかしむかし、ある貧乏なおじいさんが、
「どうせ福を招いても、福の神が来る事はない。それならいっそ、今年は鬼を呼んでみよう」
と、節分の豆をまきながら、
「鬼は〜内! 福は〜外!」
と、大声で叫びました。
するとその夜、
「こんばんは。鬼を呼んだのは、この家かいのう?」
と、鬼がやって来たのです。
「まさか、本当に鬼が来るとは」
おじいさんはびっくりしましたが、せっかく来たのを追い返すわけにもいかないので、おじいさんは、なけなしのお金で酒を買って来ると、鬼にふるまいました。
すると鬼は、とても気を良くして、
「まさか節分の日に、こんな良い思いが出来るとはな。さてこの礼に、わしがサイコロに化けてやるから、じいさんは賭場(とば)へ行って、こっそりサイコロをすり替えるんじゃ。じいさんが勝つ様にしてやるからな」
そこでおじいさんは言われた通りに、鬼が化けたサイコロを持って賭場へと出かけました。
そしておじいさんが賭場で半に賭ければ、鬼のサイコロは奇数の目を出してくれるし、おじいさんが丁に賭ければ、鬼のサイコロは偶数の目を出してくれるのです。
おかげでおじいさんは、一晩で大金持ちになりました。
さて、大金持ちになって幸せに暮らしたおじいさんですが、やがて寿命を迎えて死んでしまいました。
そして地獄行きか天国行きかを決める為に、閻魔さまに呼び出されたのですが、鬼のサイコロでインチキをした事が閻魔さまにばれてしまい、おじいさんは地獄へ送られる事になったのです。
地獄へ落とされてがっかりするおじいさんの前に、あの時の鬼が現れて言いました。
「すまんかったな、じいさん。わしがサイコロに化けた事が閻魔さまにばれてしまって。でも安心しろ。釜ゆでの時は火を加減して、ちょうどいい湯加減にしてやるからな。そして針の山を歩く時は、こっそりと鉄のわらじを履かせてやるからな」
鬼のおかげで、おじいさんは釜ゆでにされても、針の山を歩かされても平気でした。
そして、ちっとも苦しまないおじいさんに気がついた閻魔さまは、
「釜ゆでにされても針の山を歩いても平気とは、何とも不思議な人間がいるものだ。しかし、お前の様な地獄を苦しまない者が地獄にいては、他の罪人に示しがつかぬわ。仕方ない、お前は極楽へ行くがいい」
と、おじいさんを天国へ追い出したそうです。
おしまい
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