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3年生の江戸小話(えどこばなし)

しりから入る
両国(りょうごく)のすもう小屋(ごや)は、人気(にんき)力士(りきし)同士(どうし)の取(と)りくみで、たいへんなこみかたです。
まい日、大入り満員(まんいん)で、あふれた客(きゃく)が、あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。
ひと目でも、取(と)りくみをみたいとおもって、やってきた伍作(ごさく)どんも、やっぱり表(おもて)からは入れず、それならと、うらへまわり、犬のように四つんばいになって、かこいの中に入ろうとしました。
すると、たちまち中にいた、みはりの男にみつけられてしまい、
「こらこら、そこは、入るところではないぞ!」
と、えり首をつかまれ、ぐいっとおしだされてしまいました。
「ちえっ、何とか入る方法(ほうほう)は、ないものかなあ」
伍作(ごさく)どんは、しばらく考えて、今度(こんど)は、かこいの中へ、しりから入ろうとしました。
すると、またもや、みはりにみつかり、今度(こんど)は、
「こらこら、そこは、出るところではないぞ」
と、おびをつかまれ、中へずるずると、ひきずりこまれました。
おかげで、ただで、すもう見物(けんぶつ)ができたというわけです。
おしまい 
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