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3年生の江戸小話(えどこばなし)

江戸見物(えどけんぶつ)
あるいなかの庄屋(しょうや→村長)さんが、江戸見物(えどけんぶつ)に出かけました。
江戸(えど)は、初(はじ)めての町です。
きくところによれば、江戸(えど)はぶっそうな所(ところ)で、道を歩くにも、少しのゆだんもできぬといいます。
そこで庄屋(しょうや)さん、おともの男の吾平(ごへい)に風呂敷包み(ふろしきづつみ→本来は、着替(きが)えなど、風呂(ふろ)の用意(ようい)をつつんだ布(ぬの))をしっかり持(も)たせて、出かけたそうな。
さて、江戸(えど)の町です。
「これ、吾平(ごへい)、お江戸(えど)はあぶない所(ところ)というから、包(つつ)みを盗(と)られぬよう気をつけろよ」
「はい、だんなさま」
「ほほう、どっちを向(む)いても、別(べつ)ぴんな女ごばかりじゃ、吾平(ごへい)、包(つつ)みは大丈夫(だいじょうぶ)か?」
「はい、これ、この通り」
「よしよし、なるほどきいた通り、お江戸(えど)は大した町じゃ。ところで吾平(ごへい)、包(つつ)みは持(も)っとるな、どうも気にかかってならんわい」
「もっています」
「よしよし、こんなに人間のおおい所(ところ)では、気をつけにゃならんわい。それにしても気にかかるのう、これ吾平(ごへい)、包(つつ)みはまだあるじゃろうな」
「そ、それがだんなさま、申(もう)し訳(わけ)ござりませぬ、いまのいま、盗(と)られましてござりまする」
「なに、盗(と)られたとな。そうかそうか、いや、でかしたぞ。これでようやく、おちついて、お江戸見物(えどけんぶつ)ができるわい」
おしまい 
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