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3年生の江戸小話(えどこばなし)

東西南(北ない)
おくさんが子どもをだいて、表(おもて)でひなたぼっこをしていますと、道をとおる人が、子どもを指(ゆび)さし、
「この子は、東西南(とうざいなん)じゃな」
と、いって、どこかへいってしまいました。
おくさんは、てっきりほめられたと思い、うれしそうに家に入ると、亭主(ていしゅ)にいいました。
「おまえさん、おまえさん。どこの人かは知らないが、この子のことを、東西南じゃと、ほめていかれましたぞ」
と、いうと、亭主(ていしゅ)が、
「はやく子どもを風呂(ふろ)に入れろ。東西南とは、北がない。つまり、汚(きたな)いと、いうことだぞ」
おしまい 
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