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8月4日のイソップ童話
セミとアリ
冬のある日のことです。
アリたちは、ためてあった穀物(こくもつ)がしめったので、家のそとでかわかしていました。
そこへ、おなかをすかしたセミがやってきて、
「なにか、食べ物を下さい」
と、たのみました。
アリたちは、
「あなたは、どうして夏のあいだに、食べ物をたくわえておかなかったのですか?」
「ひまがなかったのです。きれいな歌を歌うのに、いそがしくて」
アリたちは、せせら笑っていいました。
「なるほどね。しかし、夏のあいだ歌を歌っていたのなら、冬はおどりでもおどったらどうです」
このお話しは、つらい目やあぶない目にあうのがいやだったら、どんなときにも、いざというときのそなえをしなければいけないと、おしえています。
※この「セミとアリ」は、有名な「アリとキリギリス」のもとのお話しだといわれています。
「アリとキリギリス」以外にも、「セミとアリ」から変化したお話しは多くて、「アリとコガネムシ」「アリとコオロギ」「トンボとキリギリス」などがあります。
セミが他の昆虫に変化した理由は、お話しの伝わった国に、その昆虫がいなかったり、お話しを伝えた人が、勝手に昆虫を変えたりしたからです。
おしまい