3月31日のイソップ童話
アリとキリギリス
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夏のある日、キリギリスが野原で歌を歌っていると、アリたちがぞろぞろ歩いてきました。
「おい、アリくんたち。そんなに汗をびっしょりかいて、何をしてるんだい?」
「これはキリギリスさん、わたしたちは食べ物を運んでいるんですよ」
「ふーん。だけど、ここには食べ物がいっぱいあるじゃないか。
どうして、いちいち家に食べ物を運ぶんだい。
おれみたいに、お腹が空いたらその辺にある食べ物を食べて、あとは楽しく歌を歌ったり、遊んだりしていればいいじゃないか」
「でもね。キリギリスさん。
今は夏だから食べ物がたくさんあるけど、冬が来たら、ここも食べ物はなくなってしまいますよ。
今のうちにたくさんの食べ物を集めておかないと、あとで困りますよ」
アリたちがそう言うと、キリギリスはバカにした様に、
「ハハハハハハッ」
と、笑って。
「まだ夏が始まったばかり。冬の事は冬が来てから考えればいいのさ」
そう答えると、また歌を歌い始めました。
さて、それからも毎日キリギリスは陽気に歌って暮らし、アリたちはせっせと家に食べ物を運びました。
やがて夏が終わり、秋が来ました。
キリギリスは、ますます陽気に歌を歌っています。
そしてとうとう、寒い寒い冬がやって来ました。
野原の草はすっかり枯れ果て、キリギリスの食べ物は1つもなくなってしまいました。
「ああ、お腹が空いたな。
困ったな。
どこかに食べ物はないかなあ。
・・・あっ、そうだ。
アリくんたちが、食べ物をたくさん集めていたっけ。
よし、アリくんたちに何か食べさせてもらおう」
キリギリスは急いでアリの家にやって来ましたが、アリは家の中から、
「だから、食べ物がたくさんある夏の間に食べ物を集めておきなさいと言ったでしょう。
家には家族分の食べ物しかないから、悪いけど、キリギリスさんにはあげる事が出来ません」
と、言って、玄関を開けてくれませんでした。
キリギリスは雪の降る野原の真ん中で、寒さに震えながらしょんぼりしていました。
今、楽をしているなまけ者は、そのうち痛い目にあうというお話しです。
おしまい
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