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10月2日のイソップ童話

旅人とヘルメス

旅人とヘルメス

 長い旅に出ることになった男が、ヘルメスの神にまもってもらおうと思って、願をかけました。
 とちゅうで何かよいものをひろったら、半分はヘルメスの神にささげるから、ぶじに旅をさせてくれといったものです。
 さて、この人が歩いていくと、大きな袋が落ちていました。
 袋の中にはアーモンドとナツメヤシの実が入っていたのですが、この人はてっきり、お金が入っていると思って、さっそくひろいました。
 袋を振ってみて首をかしげ、あけてみるとアーモンドとナツメヤシの実だったので、ぜんぶ食べてしまいました。
 それから、アーモンドのからとナツメヤシの実のタネをあつめて、ヘルメスの祭壇(さいだん)にそなえながら、こう言いました。
「ヘルメスさま、ごらんのとおり、お約束ははたしました。ひろったものの外側と中身とを、あなたとわたしでわけましたから」

 これは、神さまさえもごまかして、自分だけ得をしようとする、欲ばりな人間のお話しです。

おしまい

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