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2月6日の日本民話
  
  
  
  ニャンコの鳴き声
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 むかしむかし、あるお寺に、和尚(おしょう)さんが一人で住んでいました。
   ある日、お葬式(そうしき)をすませてもどってくると、雨水をためておいたタライにネズミが一匹落ちて、おぼれそうになっていました。
  「よしよし、いま助けてやるぞ」
   和尚さんはネズミをすくいあげると、ていねいにぬれた体をふいてやり、逃がしてやりました。
   それから何日かして、かわいい娘さんがお寺にきて、
  「子どものお祝いをするから、ごちそうを食べにきてください」
  と、言ったのです。
   和尚さんが娘さんのあとについていくと、なんと大勢の人たちがおもちをついています。
  ♪ニャンコの声は、まだ聞かぬ。
  ♪ドッテン、バッテン
  ♪ドッテン、バッテン
   みんな楽しそうにかけ声をかけるので、和尚さんもおもしろくなり、
  ♪ニャンコが来たぞ
  ♪ニャー、ニャー、ニャー
  と、ネコのまねをしました。
   すると、もちをついていた人たちはいっせいにネズミの姿になって、
  「チュー、チュー」
  と、鳴きながら逃げていきました。
   和尚さんが、はっとして気がつくと、お堂の下にすわっていました。
  「ああ、せっかくのごちそうを食べそこなった」
 和尚さんは、ガッカリしたという事です。
おしまい