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1月20日の日本の昔話

まさかの話
むかしむかし、きっちょむさんと言う、とてもゆかいな人がいました。
きっちょむさんの村に、話しをきくのがなによりも好きな、お金持ちのおじいさんがいました。
いろんな人から話しをきくのですが、話しがおもしろくなると、
「まさか、そんなことはありゃんすめえ」
と、かならずいうのです。
だから、このごろはだれも相手にしてくれません。
おじいさんは、たいくつしきっていました。
そこへ、きっちょむさんが通ったので、おじいさんが話しをしてくれとせがみました。
「してもいいですが、話しのとちゅうで、『まさか、そんなことはありゃんすめえ』と、言わないとやくそくしてくれますか?」
きっちょむさんがきくと、
「よし。もし言ったら、米を一俵(いっぴょう)やろう」
おじいさんは、やくそくしました。
「それでは、話しましょう」
縁側にこしかけて、きっちょむさんが話しはじめました。
「むかし、ある国の殿さまが、りっぱなカゴにのって、けらいをつれて旅をしていた。殿さまのカゴが山道にさしかかると、どこからか、トンビが一羽とんできて、ピーヒョロロロロと、カゴのまわりをグルグルまいはじめたのです」
「ふむ、なるほど」
「『なんとよいなき声じゃ。どこでないておるのじゃ』と、殿さまがカゴの戸をあけて、からだをのりだすと、トンビがなきながら、殿さまのはおりのそでに、ポトンとフンをおとしたんだと」
「ふーむ、なるほど」
おじいさんは、米を一俵もとられてはたいへんと、いつもの口ぐせをいわないよう、気をつけています。
「殿さまは、けらいにいいつけて、『はよう、はおりのかわりを持ってまいれ』といい、持ってきたはおりに着替えた」
「なるほど、なるほど」
「はおりをきがえて、しばらくいくと、またさきほどのトンビが、ピーヒョロロロと、ないたんだと。そこで殿さまが、カゴの戸をあけて、からだをのりだすと、こんどはトンビのフンが、殿さまの刀にポトン」
「うーむ。まさか・・・」
おじいさんは、そこまでいいかけて、あぶなくおもいとどまりました。
「殿さまは、けらいにいいつけて、刀のかわりを持ってこさせ、さしかえた。しばらくいくと、さっきのトンビがピーヒョロロロと、ないたんだと。殿さまが、カゴの戸をあけて、からだをのりだすと、ピーヒョロロロ。こんどはトンビのフンが、殿さまの頭にポトンとおちた。すると殿さまは『はよう、くびのかわりをもってまいれ』と、けらいにいいつけ、じぶんの刀でくびをチョンときってな。けらいのもってきた代わりの首とすげかえて、なにごともなく、旅をつづけたということじゃ」
おじいさんは、おもわず、
「まさか、そんなことはありゃんすめえ!」
と、大声でいってしまいました。
そこできっちょむさんは、やくそくの米を一俵もらって、さっさとかえっていきました。
おしまい
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