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3月8日の日本の昔話

エビの腰はなぜまがったか

エビの腰はなぜまがったか
蝦公个腰骨仰會彎彎呢?

福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
蛇の折り紙へび 鳥の折り紙とり エビの折り紙えび 鯨の折り紙くじら

むかしは、誰もが一生に一度は、お伊勢(いせ)参りをしたいと考えていました。
頭過,儕儕都想一生人愛去一輪伊勢。


それは、人間も動物も同じ事です。

該毋單淨人想,連動物也恁樣想。

ある日の事、この世で自分が一番大きいと思っているヘビが、お伊勢参りに行く事になりました。

有一日,認為自家係這世上第一大个蝦公,愛去伊勢。

ヘビは大きな体をズリズリ引きずりながら、太陽がギラギラと照りつける道をはって行きます。

蝦公拖等佢當大个膴身,在該條分日頭晒到燒熝熝个大路行去伊勢。


「それにしても、何て暑いんじゃ」

「實在,仰會恁熱!」


そこへ、何とも涼しげ日陰が、目の前に広がりました。

該片,有一片涼爽个烏陰影,在面頭前緊來緊大片。


「こりゃ、ありがたい。まるで生き返った様じゃあ」

「這還承蒙,像人會返生樣。」


日陰で休んで元気になったヘビは、またズリズリと進みます。

烏陰影下背尞一下,就當有精神个蝦公,又慢慢前進。

すると突然、ものすごい風が吹いたかと思うと、ヘビの大きな体は風に吹き飛ばされてしまいました。

忽然間,像形有一陣大風吹過來,身体分佢吹到飛起來。

何とその風は、大きな大きなワシの羽ばたきだったのです。

該風係一隻當大當大个婆開翼舞出來个。


さっきの涼しい日陰は、ワシの影だったのです。

頭下該盡凉个烏陰影乜係婆个影。


(このわしが吹き飛ばされる何て、何というワシだ)

(會摎𠊎吹走,到底係麼个婆。)


あまりの事にヘビが呆然としていると、その大ワシが言いました。

蝦公分恁大个事情嚇著呆忒時節,該大婆講:

「驚かせて悪かったな。何しろ、わしくらい大きな者は、この世におらんからな。自慢じゃないが、わしが本気で羽ばたけば、下は嵐になるからな」

「還慘哦!嚇著你咧!無論仰般這世間無像𠊎恁大个東西,毋係𠊎自誇𠊎翼胛認真動兩下,底下就會發風搓。」


「・・・・・・」

「......」

「あはははは。そんなに驚かんでもよい。別にお前の様に小さい者を、いじめたりはせんから。・・・さて。それでは、お伊勢参りに行くとするか。ほれ、そこのチビ助、何かに捕まっていないと吹き飛ばされるぞ」

「啊哈哈哈哈。莫怪你會恁驚。另外,無愛欺負像你恁細个東西。...該。恁樣你還愛去伊勢無?噯、細鬼仔、無抓核麼个東西,會分風吹走哦。」

ワシが大きく羽ばたくと、本当に下では嵐がおこりました。

pied50大翼胛時節,斷真下背發風搓。


そして三度ほど羽ばたくと、そこはもう海の上でした。

pied50三下後,就飛到海頂背了。

それでもお伊勢さまは遠くて、なかなか着きません。

該離伊勢還盡遠,吂得時到。

日の暮れる頃になると、さすがのワシも疲れてきました。

臨暗仔个時節,大婆像形盡悿了。

「どこかに、休むところはないものか」

有位所好歇睏無?


ワシが辺りを見回すと、少し先に何やら棒の様な物が海から突き出ています。

婆四向頭看一遍,看著頭前無幾遠个海面,有一支像棍仔樣个東西伸出來。


「これはちょうどよい」

「這恁堵好。」

ワシはそれに止まって、一晩ゆっくり羽を休めました。

婆企在該頂背,翼胛鬆鬆爽爽尞一暗晡。


次の朝、ワシはまたお伊勢さまを目指して飛び立ちました。

第二朝晨,大婆再過向伊勢飛過去。


それから一日中、ワシは飛び続けましたが、まだお伊勢さまには着きません。

歸日飛無停跎,還係吂到伊勢。


「ふう、さすがにお伊勢さまは、遠いところじゃ。そろそろ休みたいが、どこかに良い場所は・・・。おおっ、あったあった」

「呼!伊勢確實還遠哪!無幾久就想愛歇睏,毋過哪位正有位所...。哦!有了,有咧。」


ちょうど昨晩に休んだのと同じ様な棒が、また海の中から突き出ていました。

摎昨暗晡歇睏个位所共樣个棍仔在海肚伸出來。


ワシはその棒に止まると、何気なしにその棒の上を散歩しました。

すると突然、

婆停在該棍仔項个時節,無意中斯在棍頂散步,忽然間,


「誰だ!わしのひげの上で歩き回っているのは?くすぐったくてたまらんから、早く下りろ」

「麽儕!在𠊎个鬚頂行來行去?痎到會死煞煞下來!」

と、言う声とともに、棒が波を割って持ち上がりました。

講个同時,用棍仔攪起大浪。

「ヒェーー!」

hie~!」

棒と一緒に上に持ち上げられたワシは、下を見てビックリです。

摎棍仔共下擎起來个大婆,看著下背个情形嗄嚇著。


何とワシが乗っていた棒とは、大きな大きな伊勢
(いせ)エビのひげの先っぽだったのです。

仰會佢企該支棍仔係大大个伊勢蝦公个鬚尾呢。

ワシは一日中飛んで、伊勢エビの片方のひげからもう片方のひげへと移動しただけでした。

婆飛歸日斯在伊勢蝦公个一片鬚飛著另外一片鬆定定。

「ウヒャーー!海には、こんな大きな奴がいたのか!」

「哇!海竇肚有恁大个東西嘎?!」


「こら、驚くのはかまわんが、いつまでひげの上に乗っておる。そんなところにおられては、くすぐったくて、くしゃみが。・・・へ、へ、へっくしょーーん!」

「噯!仰般著驚無關係,你在鬚頂愛企到幾時,企在該位盡痎,會打哈啾。...哈...啾!

エビがくしゃみをすると、その勢いでワシは空の彼方へ吹き飛んでしまいました。

蝦公打哈啾个時節,大婆分佢噴到當遠个地方去。


さて今度は、伊勢エビがお伊勢参りに出かけました。

這下換伊勢蝦公去伊勢。


ところがそんな伊勢エビでも、お伊勢さまにはなかなか着きません。

毋過,恁大个伊勢蝦公乜無法度去到伊勢。


やがて夜になったので、疲れた伊勢エビは大きな山のまん中に、体を休めるのにちょうどいい穴を見つけてその中に潜り込みました。

無幾久,暗了,非常悿个伊勢蝦公,在大山裡肚尋著一隻堵堵好做得歇睏恁大个空仔,佢就鑽落去。


そして一晩ぐっすりと眠った伊勢エビが、

睡了一暗晡个伊勢蝦公講:


ああーよくたなさてそろそろ、お伊勢さまに出発しようか」
「啊!還好睡哪!好出發來去伊勢了!」


と、穴から出ようとした時、その穴から水が勢いよく吹き出して、伊勢エビは空高くまで吹き飛ばされてしまいました。

想對空仔弄出來時節,該隻空仔噴出當大个水,伊勢蝦公分佢噴到半天高。


何と伊勢エビが休んでいた穴は、大きな大きなクジラの潮吹きの穴だったのです。

伊勢蝦公歇睏个空仔原來係當大當大个鯨魚个噴水空。

そしてクジラに吹き飛ばされた伊勢エビは、はるか彼方まで飛んで行って岩の上に落ちたのですが、その時に腰をひどく打ってしまい、腰が曲がってしまいました。

所以,分鯨魚噴上天个伊勢蝦公,飛到當遠當遠,跌著大岩石頂,該下腰骨著傷嚴重,就彎忒了。


その時からです、エビの腰が今の様に曲がってしまったのは。

自該擺以後蝦公个腰骨就像這下恁樣彎彎了。

 

おしまい
煞咧

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