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 4月9日の日本の昔話
 
 
  
 だんまりくらべ
 啞狗比賽
 
 福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
 
 にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。頭擺頭擺,某隻位所,有一個老阿伯摎老伯姆戴在該位。
 ある日の事、近所の人がおもちを持って来てくれました。
 有一日,鄰舍个人拿粢粑來送佢。
 「昨日な、家でもちをついたんだ。たくさんあるから、おすそわけに持って来ただ」
 「昨晡日𠊎屋下打粢粑,打盡多,特別拿兜分你分享。」
 おもちの大好きなおじいさんとおばあさんは、大喜びです。
 盡好食粢粑个老阿伯摎老伯姆,所以暢到耐毋得。
 おもちは全部で、七つありました。
 粢粑總下有七隻。
 「うまい、これはうまいもちだ」
 「好食,還好食个粢粑!」
 「本当に、おいしいおもちですねえ」
 「斷真還好食呢!」
 一つずつ食べたので、おもちは五つになりました。
 一儕食一隻,還伸五隻。
 「まだまだあるから、もう一つ食べよう」
 「還有,再過食一隻。」
 「はい。明日まで置いておくと、固くなりますからね」
 「好啊!放到韶早會硬忒。」
 また一つずつ食べたので、残りは三つです。
 一儕再過食一隻,還伸三隻。
 「もう少しあるな。では後一つ食べよう」
 「伸一息仔,無斯再過食一隻。」
 「はい。もう一ついただきましょう」
 「好!再過過食!」  また一つずつ食べたので、残るおもちは一つだけです。
 一儕再過食一隻,包尾斯伸著一隻定定。
 一つだけ残ったおもちを見て、おじいさんが言いました。
 老阿伯看著伸著一隻粢粑,就講:
 「一つだけ残しても仕方がない。ここは、だんまりくらべをして勝った方が、残りのもちを食べる事にしないか?」
 「斯伸一隻無奈何,來搞啞狗比賽,贏儕食好無?」  「いいですねえ」
 「好啊!」
 だんまりくらべとは、何もしゃべらずに頑張る競争で、先にしゃべった方が負けです。
 啞狗比賽係忍等毋講話,先開嘴个人輸。
 その為に、おじいさんとおばあさんはおしゃべりが出来ません。
 所以老阿伯摎老伯姆二儕就做毋得講話,
 つまらないので、二人とも早くに寝てしまいました。
 因為盡無聊,所以二儕早早上床睡目。
 さて、その日の夜中の事、家に泥棒が入って来ました。
 該暗晡半夜,賊仔走落佢屋下。
 おじいさんもおばあさんも泥棒に気づきましたが、だんまりくらべをしているので口をきくわけにはいきません。
 老阿伯摎老伯姆都發現賊仔,毋過因為兩儕啞狗比賽做毋得講話,  おじいさんとおばあさんは、泥棒が家の物を盗むのを寝たふりをしながらじっと見ていました。
 老阿伯摎老伯姆兩儕詐睡,看等賊仔偷拿屋下个東西。
 やがて泥棒は、お皿の上におもちが置いてあるのを見つけました。
 無幾久賊仔看著盤仔頂放有粢粑。
 「あっ、うまそうなもちだ。こいつも頂こう」
 「啊,像形盡好食个粢粑,這就無客氣了!」
 泥棒がおもちを食べようとしたその時、ついにおばあさんが大声で言いました。
 賊仔堵堵愛食粢粑个時節,老伯姆黏時大聲講:
 「こらっ、そのもちを食うな!」
 「噯!該粢粑做毋得食!!」
 「ひぇーー!」
 「hie~!」
 びっくりした泥棒は、盗んだ物を全部放り出して逃げて行きました。
 嚇著个賊仔摎偷著个東西全部放忒瀉走了。
 するとおじいさんが、うれしそうに言いました。
 老阿伯暢到會死講:  「わはははは。ばあさんがしゃべった。この勝負は、わしの勝ちじゃ。だからこのもちは、わしが食べるぞ。もぐもぐ・・・」
 「哇哈哈哈哈,老阿婆講話了,𠊎贏了,這粢粑𠊎來食。放落嘴肚...」
 おじいさんがおいしそうにもちを食べるのを見て、おばあさんがうらめしそうに言いました。
 看等老阿伯食該粢粑盡好食个樣仔,老伯姆當毋甘願講:
 「あーあ、あの時にわたしが声を出さなけりゃ、そのもちは泥棒に食べられてしまったのに」
 「該,該、該量時𠊎若係無出聲,早就分賊仔食忒了!」    おしまい煞咧
   
 
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